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#13 - 左銃



 俺には惚れてる奴がいる。そして俺の好きな相手は、かなりモテる。ヤクザだけど人に慕われているのが、俺から見てもよく分かる。ケツ持ちしてる店の譲なんて、左馬刻が来るといつも目がハートになってるもんな。
「……今日は左馬刻が女に抱きつかれてるところを見せつけられたんですよ。左馬刻のやつ、抱きつかれて嬉しそうにしてました。……なんなんですか。私に対する嫌がらせですかね」
 正直、落ち込んで泣きたくなる。理鶯の前では取り繕わなくても良いから、遠慮なく不満を言った。頭を撫でられて、少し落ち着く。
「左馬刻は………銃兎を嫌っているわけではないだろう。スマホに不在着信が溜まっているのではないか」
「よくご存知で」
「小官のところにも連絡が来たからな。軍人は嘘を吐かない。銃兎を探してるのに掴まらないし電話に出ないと言うので、銃兎なら小官と公園デートしていると伝えておいた」
「ふふ、デートですか。たしかに、夜のみなとみらいなんて夜景観に来るカップルしか居ませんもんねぇ……理鶯は私が相手で良かったんですか?」
「銃兎は自分を低く見積もりすぎている。……ああ、随分と早く到着したんだな」
「? なにが………」
「よぉ銃兎。俺様の連絡シカトしてデートたぁいい度胸じゃねぇか。相手が理鶯じゃなかったら今ここで殺してたぜ」
 その顔はいつも以上に不機嫌なくせに夜道でも分かるほど完璧な格好よさで、思わず目を逸らした。
「……Fカップのロリ系の女」
「はぁ?」
「デートに誘われていましたよね。好きって言われてたでしょう?」
「ほう。左馬刻は告白されていたのか」
「ええ、サマトキサマは今まで告白されたことしかないそうですよ。羨ましい限りですね。行きましょう理鶯」
「待てやオイ行かせねぇぞ!! ……たしかにそれは間違ってねぇけどな」
 不意に手を引っ張られた。理鶯に背中を押されて、避けていた左馬刻の腕の中に。やめろここ夜のみなとみらいだぞ。カップルしかいねぇのに。
「……正確には"今日まで"になるんだよ。なあ銃兎、」
怒ったのと照れてるのと真剣なのと緊張が全部混ざった顔で名前を呼ばれる。初めて見る表情だった。

2021/05/19 17:17
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