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#9 - プラス・マイナス・5cm



「ふわぁ……」
 パシャッ。入間銃兎(181cm)が無防備に欠伸したところにカメラのシャッター音。わざと格好悪いところをスマホで撮って「ヒプッターに上げてやろうかなぁ」。意地の悪いことを宣ったのはヨコハマを統べる王だ。俺様は朝から顕現済みである。
「!? バカ!消せよ!」
 スマホを奪おうとするウサギ。しかし背が足りなくてスマホを奪えない。ぴょんぴょん跳ねて懸命に奪おうとするものの、腕を高く上げられるとやはり厳しいところ。
「俺のイメージが崩れるだろうが!」
「どんなイメージだよ」
「品行方正で清廉なインテリ系のイメージに決まってる!」
「はっ、クソほど似合わねぇ」
 笑って吐き捨てつつ、左馬刻の腕は銃兎の腰に回されている。これなら銃兎がバランスを崩して転ぶこともないだろうが、この二人の体勢はどう見ても朝からイチャついているようにしか見えない。
「うっせぇな!イメージ商売だよその程度のことも理解できねぇのかボンクラ!」
「この距離で喚くんじゃねぇよデカい声のウサちゃんがよぉ。左馬刻様なんでもします抱いてくださいっておねだりすりゃ……あ」
「左馬刻、あまり銃兎を揶揄いすぎるのは感心しない」
 碧棺左馬刻(186cm)からスマホを取り上げる毒島メイソン理鶯(191cm)。王様よりも更に高い位置からスマホを取り上げ手渡してやると、数秒とかからず写真を削除したらしい。柳眉を逆立て怒っていた銃兎だったが、理鶯には綻んだ表情を見せる。左馬刻のことは完全に無視して、ふわりと微笑んだ。
「……理鶯、ありがとうございます。今すぐ抱いてください」
「あ"ァ!?なんでそうなるんだ!!」
「銃兎、今日は買い物に行く予定だろう。抱いたら疲れさせてしまう」
「ふふ、理鶯のそういう優しいところが大好きなんですよ。どうせ左馬刻は私のことなんか大して好きじゃないんですから……ン?」
「うん? 銃兎、どうした」
「……なんだこれ。フォルダ名Rabbitって」
「は、ハァ!? なッなんでもねぇわ!!ヤクザのスマホ勝手にあちこち見んじゃねぇよウサポリ公が!!」
「パスワードがかけられているな。小官が察するに"Rabbit"の誕生日は……」


横から冷静に見ればコントであるからして


2021/04/22 15:38
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