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#8 - 左銃
うさぎのしっぽ。それこそ兎のしっぽみたいに丸くてポップな字体の看板だった。
透明な窓ガラスの向こうでは、うたた寝する白い兎や茶色い兎が見える。日向ぼっこしてるのか……さぞかし癒されそうだな。
見惚れていると、後ろから左馬刻が声をかけてきた。
「おう、ウサポリがウサギカフェかよ。流石にそのナリじゃ店に入れねぇんじゃねーか?」
「……誰のせいでスーツがボロになったと思ってんだクソ野郎。俺みてぇなのが近づいても怖がらせるだけだろうし、行かねぇよ」
「へぇ……まあ俺様もウサちゃんは一人いりゃ充分だと思ってんぜ。ちっとばかし汚れてようが怖がられてようが気にしねぇ」
満足そうに笑って肩を組んでくるんだから、こいつはずるい。二人きりの部屋に帰ったら指でも噛んでやろうか。陽の当たる場所で堂々と出来る関係じゃなくても、戯れて遊んだあとは左馬刻のコーヒーが飲みたい。さぞかし癒されそうだ。
2021/03/26 23:08