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#50
万事屋のことが好きだった。かといって、そんな厄介事を告げる勇気なんかないから、コイツといるとラッキーだよな〜とか、せめてそんな風に思ってもらいたくて、巡回で会うたびに団子やパフェを奢っている。逃げてると笑いたくば笑え。
「団子うまっ!今日も悪ィな土方くん」
「気にすんな。俺も休憩中だし……あ」
「なに?」
「茶柱…!」
万事屋の手に持った緑茶に茶柱が立っていて、これは誰がどう見ても縁起良いじゃねぇか。
ラッキーだな、と喜びいさんで言ったが万事屋は「あー、そうかも?」。へらりと笑うだけだった。そうだよな、茶柱が立つのなんか偶然だし、万事屋だってガキじゃねェ。緑茶なんて数えきれねぇくらい飲んでるだろうし……このくらい、そんなにラッキーなことでもないのかもしれねェ。俺が勝手に喜んでただけで、少し恥ずかしい。
「……最近さ、お前とよく会えるじゃん? 俺としてはそっちの方がラッキーかも」
──万事屋ハンパねぇ!
俺の予想を遥かに越えてきやがった。つーかなんだその笑みは。さっきみたいな、茶柱見た時くらいの顔してくれよ。そうでねぇと俺は。
すわ、逃げそびれた
2020/11/05 17:45