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#45



 今日はビシッと気合を入れようと思って新しい下着を選んできた。断じてヘンな意味じゃねェぞ。先月に決めた非番を守るため、予定通り仕事を終わらせてある。残してたら非番がなくなるからな。明日は正真正銘の非番だ。俺の準備に抜かりはない。事件でも起こらない限り失敗はしねェ。我ながら完璧なプランだろ。
 いつもアイツと鉢合わせる居酒屋だったから、今日だって偶然会えるような気がしてた。予想が当たり、ニートだとか綿飴だとか悪口交じりで挨拶しながら、俺は随分と浮かれていた。もう何度目になるかも分からない『偶然』に甘えて、今日こそは万事屋の考えてることを少しでも知りたい。具体的には、明日の予定はあるのか……とか。酔った勢いに任せて好きな女がいるのかも聞けたら上々だ。閉店まで粘ってやる。
……そう思っていたんだが。現実は上手くいかないもんで、いい感じに酒が入った辺りで万事屋が「そろそろ行くかなァ」と席を立った。行くかなァ、だと? なんでだよバカ。帰るのは嫌だ。今日はやけに早く帰るじゃねーか。……この後なんか、予定でもあるのか。
立ち上がらずにいる俺を見た万事屋はしばらく何か言いたげにしている。用があるなら先に帰れよ、俺はまだ飲むんだと意地を張った。

「土方くんさ、」
「んだよ。俺ぁまだ飲むんだ。どっかいっちまえ毛玉」
「はいはい、うん。分かったからねそれは。……そうじゃなくてよォ、飲み足りねぇなら飲み直せばいいんじゃねーの。非番なら泊まってかね? ……今日、万事屋ウチに誰もいねェからよ」

──事件が起こった。

2020/07/19 23:23
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テーマ「人外ファンタジー」
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