「なまえさん…応援してます。」
やめて、そんな顔で笑わないでよ。涙を堪えて笑うなんてエレン君らしくない。
「ごめんね、エレン君…」
頬にそっと触れるとエレン君はピクリと跳ねた。
「なまえ…さん?」
エレン君の瞳はゆらゆら揺れている。ああ、彼はこんなにも子どもだったのに。私はエレン君の気持ちに気づけなかった。どんなに気持ちを押し殺していたのだろうか。
「ごめん。」
ポロリと一粒涙がエレン君の瞳から落ちた。それを境に止めどなく溢れる涙。ビーズみたいにポロポロこぼれてく。
「好き、です…。なまえさ、好き。うっ、好きなん、です…!」
ギュウギュウと体を押しつけてくる。服が涙で湿っていく。エレン君を抱き締めると、自分が思っていたより小さい気がした。この体にどれほどの悩みをため込んでいたのだろうか。
「ごめっ、なさい。でも好き、なんです!」
「ごめんね…ありがとう。」
どれくらいこうしていたのだろう。エレン君がだいぶ落ち着いて私はエレン君の背中を撫でていた。
「なまえさん。」
「なあに?」
エレン君は顔を押しつけたまま言った。
「リヴァイさんと仲直りしてください。」
「…。」
「リヴァイさんにはなまえさんがいないとダメだから。」
「…うん。ありがとう。」
パッとエレン君が顔を上げる。その目にはもう涙はなかった。私の頭に手をのせくしゃくしゃ乱す。
「ちょちょちょちょ!!」
「あはははは!」
エレン君はいつもの笑顔で笑った。太陽みたいで、眩しい真っ直ぐな彼そのものだった。
「…いつでも俺の所に来てください。ずっと待ってます。」
「エレン君…。」
だって好きですから!そう笑ったエレン君に私も静かに微笑み返した。




家に帰り、スマホを持つ手に力を込めた。
「リヴァイ、出てくれるかな…。」
ふーっと息を吐き通話ボタンに手を伸ばした。こんなに緊張したのは中学の時以来だ。
しばらくのコールのあとに電話をとる音がした。
「…はい。」
「もしもし…。」
君に告げるまでもう少し。


0705



mae tugi

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