枯れたと思った涙が止まらない。リヴァイが好きだった。裏切られた。
でも、リヴァイだけが悪いだけじゃないんだ。気づかなかった私も悪い。リヴァイの心には私はもういなかったのだ。私のかわりをあの女で既にリヴァイは埋めていたのだ。
「…さん、なまえさん!!」
「!?あ、ごめんね!」
後ろに手をグイッと引かれ気がついた。どうやらずっと私を呼んでいたらしい。
「巻き込んじゃって、ごめんね…。せっかくの休日なのに。」
「気にしないでください。それよりも、」

──リヴァイさんとは別れるんですか?

ぐっと何かがこみあがりそうになって、下を向く。別れるよ。そう言いたいのに、口から出るのはヒューヒューという空気だけ。結局私は未練たらたらなのだ。
「分からないよ。」
馬鹿な私は笑ってごまかすことしかできないの。



△▼
なまえさんは馬鹿だ。悲しいなら泣けばいいのに。悔しいなら怒鳴り散らせばいいのに。ただ笑うんだ。無理して作った笑顔でヘラヘラと目に涙を溜めて笑うんだ。
「分からないよ。」
そう言ったなまえさんはまた笑った。なんで、笑うんだよ。その笑顔は見たくない。あの眩しい笑顔が俺は好きなんだ。でも、その顔をさせてあげられるのはリヴァイさんだけで。リヴァイさんだけがなまえさんのあの笑顔を向けてもらえるんだ。だから今なまえさんにこんな顔をさせているリヴァイさんが憎くて仕方ない。どうしてなんだ。なまえさんは俺を見てはくれない。どうしてリヴァイさんなんだ。
「…俺にすればいいのに。」
気がついたら俺の胸にはなまえさんがいた。




△▼
「…え?」
「俺ならなまえさんを幸せにできます。」
よく状況が読めない。私、またエレン君に抱き締められてる?
「エレン、君?」
「なんでリヴァイさんなんですか?」
私の耳元で聞こえる声はか細く、心なしか少し震えていた。
「どうして俺じゃないんだ…っ。」
私は知らない間にエレン君もひどく傷つけていたのかもしれない。リヴァイの事にもエレン君の事にも気づけないなんて。
「ごめん、ごめんねっ、エレン君。」
どうしたってもう取り返しがつかないのだ。このままエレン君の気持ちに答えれば私は楽になるのかな。でもそれじゃあ、また二人を傷つけるだけな気がする。
エレン君が顔を上げて私を見つめてきた。エレン君の目に私が写っている。ガラス玉みたいだ。私の目にも今同じようにエレン君が写っているのだろうか。
「俺、なまえさんが好きなんです。俺ならなまえさんを幸せにできるから。」
なんだって皆悲しそうな顔をするのだ。エレン君、私を好きなのになんでリヴァイの事で泣く私を慰めたの?わかってるエレン君は優しいから。気持ちを殺したんだね。でもね、私馬鹿なの。
「ごめんね、エレン君。私リヴァイを嫌いになれない。」
エレン君はふにゃっと笑うと、やっぱりなんて言うから頑張ってくださいなんて笑うから。
私の心臓はひどく締め付けられる。
「それでも、大好きですなまえさん。」
エレン君と私は似てるのかもしれない。

0703



mae tugi

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