どこかで安心していたのかもしれない。リヴァイは潔癖症だし、私以外の女の子を触ったりしないって。少し自惚れてた。うん、自惚れてたんだ。
「エレン君…くっ、ごめ、ね。」
「いいんですよ。もっと泣いて。」
現実は違った。リヴァイは確かに私の彼氏である前に一人の男。私以外の女に興味をもってもしょうがないのだ。リヴァイも他の男と例外なく他の女に興味を持った。ただそれだけだったのだ。
「リヴァイはそんなことしないよ〜。」
いつの日だったか。友達に笑いながらそう言ったのは。リヴァイは浮気なんてしない。胸を張ってそう言えたのは。
「も、大丈夫。ありがと。」
エレン君の胸を押し返そうとするとよりいっそう強く抱き締められる。
苦しい。
「エレン君…?あの、」
「なまえさん、俺「なにやってんだ。」…あ。」
二人で振り向くとそこには息をきらしたリヴァイが立っていた。足がガクガク震える。リヴァイは近づくと私の腕を掴んで引っ張った。
「こい。」
ねえ、あなたはその手であの女に触れたんだね。その唇であの女の唇を塞いで愛を語ったんだね。
ねえ、その瞳は誰を写しているの。
「…して。」
「あ?」
「放してって言ってるの!!」
自分でもビックリするくらいの声がでた。リヴァイは呆けている。手をサッと引き抜き俯いた。
「今更、なんの用?」
「俺は…お前が」
「どうして?」
今日初めてリヴァイの顔をしっかり見た気がした。なんでこんなに悲しそうな顔してるの?
「どうして、今更私に構うの。」
「っ、…俺は、」
「もう、いいの。」
私たちって何だったの。今まで付き合ってきた時間はなに。ただの空虚な時間だったのね。
「なにが、いいんだよ…」
「私たち終わ、ちょっと!」
いきなり抱き締められる。なんでリヴァイ震えてんの。苦しいのはアタシだよ。今日記念日なのに。リヴァイは他の女といたんでしょ。
「ちが、うんだ。話を聞いてくれ。」
「なにが違うの。」
先ほどエレン君の胸で泣いたからだろうか。妙に自分が冷めていて、冷静を保っていた。
「あの女は、違うんだ。本当に好きなのは」
なまえだ。なんでなの。なんで今更そんなこと言うの嘘つき。私わかってるよ。
「でもリヴァイは私とデートより、あっちの子とデートすることを選んだよ。」
「それは、」
「もう無理だよ。好きだったのに。」
好きなのに。今は?私はまだリヴァイのこと好きなの。あんなことされてまで好きなの?馬鹿みたい。
「別れたくない…。」
もうヤメてよ。自分勝手だよ。
「…少し、考えさせて。」
体を押すと案外簡単に振り解けた。それがまるで私たちの関係を表しているような気がして。
「なまえさん…」
「ごめんねエレン君…。行こう。」
ホントはさ、今頃映画見てご飯食べて。一緒に過ごしてる筈だったよね。
どうしてこうなったの私たち。

0703



mae tugi

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