なんだか吐きそう。二人は可愛い小物を眺めている。私と一緒の時は入りたいって言っても入ってくれなかったよね。その小物アタシがカタログみてかわいいって言ってたのと同じだよね。なんで、なんで、
「行きましょうなまえさん。」
ふと視界が暗くなった。誰かに目を覆われているのだ。
「エレン、君。」
「これ以上見ちゃだめですよ。行きましょう。」
エレン君に手を引かれてその場から離れる。俯きながらさっきの光景を思い出す。
「ねえ、エレン君。」
「…はい。」
しばらく歩いて私もエレン君もお互い止まった。こんなとき他の女の子はどうするのかな。ペトラだったら泣くだろうな。ハンジだったら怒って解剖しそうだよね。じゃあ私は?どうすればいいの?
「あれは、夢だったのかなあ。」
「なまえさん…。」
何故か涙は出なかった。かわりに乾いた笑いが出てきて。
「私、騙されてたんだね。嘘つかれてた。リヴァイには他に大切な人が…エ、レン君?」
気がついたら抱き締められてた。なんで?こんなお店の真ん中で私。
「だ、だめだよ。エレン君離して「なんで笑うんですか?」…え?」
エレン君の抱き締める力が強くなる。
「なんで、悲しいのに笑うんですか!」
「エレン君…。」
「そんな顔…しないでください。」
「ふっ、うう。エレン、君…うぁ。」
エレン君の手が私の背中をポンポンと叩く。リヴァイ。なんで?私以外の子と一緒にいたの?信じてたのに。
「リヴァイの、バカァあ。う、うぇ。」




△▼

「なにしてんの。」
「ハンジ…。」
「その女誰?」

最近何故か毎日が酷くつまらないような気がしていた。毎日に刺激がほしい。そう思って始めた浮気。最低なことだとは分かっていた。なまえには悪いと思ってる。
勿論本命はなまえ。こんな女はただの遊びだった。ずっと止めようと思ってた。しかし、いつバレるか分からないスリル。全く気づかないなまえ。止めるタイミングはどんどん失われていった。今日のようなことが起きるのはどこかで予想していた。

「リヴァイ…君のことは大切な友達だと思ってるけど、サイテーだね。」
「…わかってる。勿論もう止める。」
当たり前だろ。と言うハンジ。やっと終われた。
「ちょ、ちょっと!どういうことなの?!」
「ああ?お前はただの遊びだったって話だ。」
「はあ?!何それ!!」
「うるせえな。さっさといきやがれ。」
そういうと女はぷりぷり怒って離れていく。精々する。
「今日のことは、なまえには言わないでくれ。」
「本当に馬鹿だね。」
ハンジが軽蔑するように吐き捨てた。
「なまえはもう全部知ってるよ。」
「っ?!」
「全部、見てたよ。」
頭を鈍器で叩かれたような気がした。全部、見てた?
「今日は、記念日なのにね。」
「記念日…なまえはどこにいる?!」
「さあ?エレンが連れて行ったよ。」
ハンジの声が終わる前に走り出す。なまえを傷つけた。それ以上に俺のしていたことがバレた。
記念日にデートを断られ、彼氏の浮気現場を見せられるなんて。
「なまえ…っ。」

どうやら俺は取り返しのつかないことをしてしまったらしい。


0701



mae tugi

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