やっぱりなまえさんは儚げだ。こんなに泣いてずっと名前を呼んでいる。リヴァイ、リヴァイって。そればっかりだ。そんなにリヴァイさんが大切だったんですか。やっぱり俺じゃダメなのか?俺だってなまえさんを守りたい。俺だってなまえさんにエレン、エレンって呼んでもらえるくらい大切な人になりたい。
「俺じゃ、ダメですか。ホントに、ダメなんですか。」
弱っているところにつけ込むなんて、卑怯だって分かってる。でも、今じゃないと。なまえさんを守りたい。
「だ、ダメだよエレン君。私、エレン君を傷つけたくな、」
「傷つけてください。」
なまえさんの瞳が俺をとらえる。
こんなときに、こんなのダメだと思うけど素直に可愛いと思った。
「好きです。」
しずかになまえさんの唇にキスを落とした。


△▼

もしかしたら、私の方が浮気性だったのかもしれない。だって、フられたばっかだよ。なのにエレン君のキスを受け入れちゃってる。
「わ、たし。」
「しばらくは俺にリヴァイさんを重ねても構いません。」
でも──。
エレン君と目が合う。いつにない真剣な瞳だった。
「絶対俺のことを好きにさせますから。」
なんて、きゅんきゅんキてしまったから私はやっぱり浮気性なのだろう。


△▼

なまえからもエレンからも連絡はない。なまえからは昔からどんなに喧嘩しても連絡があった。しかし、どんなに待っても連絡はこない。それはそうだ、俺は別れたのだから。アイツ等、どうなったのだろうか。
「…チッ。」
もう今更後悔している。なんて言ったらお前は笑うのだろうか。
電話、くらいならいいだろうか。
ストーカーじみてるな。小さく呟き電話をかける。
誰も出なかった。否、この携帯番号は誰も使っていなかった。
未だ鳴り続ける携帯。それを持つ手は力なくぶら下がり、俺は恐らく呆けた顔をしているだろう。
どこかで勘違いしていた。俺がどんなに突き放してもアイツは俺を求めると。だが現実はどうだ。俺は既になまえには拒絶されていた。
当たり前といえば当たり前。そしてこれが俺の選んだ選択肢。分かっていた。分かってはいた。なのになぜこんなにも胸を締め付ける。
「なまえ、好きだった。」
微笑む君は隣にいない。


0707



mae tugi

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