「リヴァイさん。あの、なまえさんは…」
「…別れた。」
なん、で?言葉は出なかった。リヴァイさんの口からつらつらと出てくる言葉。本当は好きじゃなかった。あいつはうるさい。あいつより浮気相手の方がタイプだった。
気がついたら俺はリヴァイさんにつかみかかっていた。こんなことしちゃいけないって分かってはいたけどたまらず殴りかかる。意図も容易く抑えられる俺の拳。
「なんでっ、なんでそんなこと。」
「お前には関係ないだろう、エレンよ。それに、」
───お前にとっては都合のいい話だろう?
今度は止められなかった。俺の拳はリヴァイの頬にあたりリヴァイさんは派手に飛んだ。ハンジさんは驚いたようにコチラをみている。他の奴等も、何事かとコチラをみる。
リヴァイさんはなまえにも同じ事を言ったのだろうか。浮気を許して、もう一度歩み出そうとした瞬間に。今なまえさんは一人で泣いているのだろうか。
「もしもし!」
「…エレン君?どうし「今から行くんで。」え?ちょ」
一方的に通話を切って、駆けだした。


▼△
「君ってば!!本当に馬鹿なの!?」
小さく伝った血を手の甲で拭う。ハンジが珍しく怒鳴り散らした。コイツがこんなに興奮してるのは実験中以外見たことがない。
「なまえがどんな気持ちだったか何も知らないくせに!!」
「…知っている。エレンのことが好きなんだろう。そのくらい「馬鹿!!」はあ?」
なんでコイツ泣いてんだ。俺だって泣きてえよ。好きな女が、なまえが好きな奴は俺じゃなくてエレンだなんて。
「なまえはね、エレンをフったんだ。君のことが、好きだからだよリヴァイ!!」
「何言って、」
「昨日は君とやり直そうと連絡したんだよ…それなのに。」
俺はとんでもない勘違いをしていたようだ。俺が思っていた以上にアイツは俺を一途に思っていたらしい。それを、俺は。
エレンが駆けだした先を見つめてももう誰もいなかった。



△▼

──今から行くんで。
今日は、どうしても気分が優れず思わず行くのを躊躇ってしまった。一人で毛布にくるまりボーッとしていると鳴り響くスマホ。そして冒頭にもどる。
「エレン君…。」
ぴんぽーん。間抜けな音が部屋中に鳴り響き、扉を開けるとそこには息をきらしたエレン君が立っていた。
「きちゃいました…。」
つらかった。昨日のこと、誰にも言えなくて一人で考えてたら朝になった。
「エレン君、アタシね、アタシ…」
気がついたらまた胸の中。頭上で声が降り注ぐ。
「全部、分かってます。俺がいるじゃないですか。もっと頼ってください。」
エレン君なら何もかも言える気がした。何故かは分からないけど。また、迷惑かけちゃうな。
「ごめんね、フられちゃった。仲直り、できなかったっ…!」
エレン君は私を静かに抱きしめる。
「なまえさん…」
ふと思った。私たち終わったんだ。この腕がリヴァイだったら、なんて少し考えてしまった。でももう終わったんだ。
「今だけは、俺をリヴァイさんだと思っていいですよ。」
「うぁ、リヴァ、イ…リヴァイ、リヴァイぃ。」
部屋には私の嗚咽と、時計の音だけが静かに響いた。



0705



mae tugi

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