白いねむりに蝕まれ

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秋になると、蜻蛉とんぼも、ひ弱く、肉体は死んで、精神だけがふらふら飛んでいる様子を指して言っている言葉らしい。蜻蛉のからだが、秋の日ざしに、透きとおって見える。

いつか郊外のおそばやで、ざるそば待っている間に、食卓の上の古いグラフを開いて見て、そのなかに大震災の写真があった。一面の焼野原、市松の浴衣ゆかた着た女が、たったひとり、疲れてしゃがんでいた。

青空文庫 - 「ア、秋」より引用


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