高専七海を攻めるだけ



キスをしたら、変な顔をされた。それでも抵抗されないのをいいことに、立ったまま、ベットに腰掛ける七海の頬に手を添えて唇を重ねる。ちゅっちゅっとわざとらしく音を立てれば、やめろというように軽く肩を掴まれたけれど、それ以上の抵抗はなかったから、彼の身体を押し倒しながらゆるく開いた唇に舌を捩じ込んだ。

「んっ……う、む……」

学生服の上着はキチンと壁に吊るされていて、目下の課題はこの薄っぺらいワイシャツ一枚である。角度を変えて深く口づけながら、爪先にあたる小さなボタンをぷちぷちと開けていく。上から三つ目のボタンに手を掛けたとき、今更のようにその手首を掴んだ七海の手が抵抗するような素振りを見せたけれど、それはたやすく私が振りほどける程度の弱々しい力だったので思わず頬が緩んだ。

「んふふ」
「……何笑ってるんですか」
「いやぁ、まだ抵抗するのが可愛くって」
「……」
「そんなに睨まなくても優しくするよ?」
「そういう意味じゃ……っ」

話してる間にボタンを外し終え、インナーをたくし上げる。うっすらと筋肉がついた胸板に口付けながら、片方の手はゴツゴツした肋骨のシルエットをなぞり、羨ましいくらいに細い腰をつたって、スラックスへと伸びた。
布を噛まないよう気を付けながらチャックを下ろせば、頭上からごくりと生唾を呑む音が聞こえる。顔を上げると、視線の先でそっぽを向いた彼の顔は真っ赤に染まっていた。

「……七海さぁ」
「は?……ん、うっ」
「そういうの、なんかムショ〜〜に虐めたくなっちゃうから気をつけた方がいいよ」
「な、何いって、」

スラックスを下ろせばそれは緩く勃ち上がり、グレーのボクサーパンツを押し上げている。その上から円を描くように撫でると、噛み締めているらしい唇からは押し殺すような声が聞こえて、それは何度か手のひらを動かすたびに甘い色を含んでいった。……七海、流されやすいとは思っていたけどここまでとは……。なんてオマエが言うなとツッコまれそうなことを考えながら、私は湿った指先を真っ黒なウエストのゴムに引っ掛けた。


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