学生五条と彼女



「頑張った!褒めて!」

そう言ったら、なぜか不機嫌そうに眉を顰めた五条くんは「じゃあ先に俺を褒めろよ」と注文をつけた。え、今日五条くん何かしてたっけ?純粋に浮かんだ疑問をオブラートに包んで尋ねれば、ついさっき一級呪霊を祓って帰ってきたばかりだと言う。……五条くんが高専を出てから帰ってくるまで三十分も経っていなかったような。そんな私の頭の中を覗いたように、口を尖らせた五条くんが「別にいいけど」と言ってそっぽを向いた。

「誰にでもできることじゃねーのに、俺ができんのは当たり前だから誰も褒めてくれねーの」
「あー……じゃあほっぺにチューでもしてあげようか?」
「……はあ?」

数秒の間を置いて、こちらを向いた五条くんはちょっぴり嬉しそうだった。私を見下ろすサングラス越しの瞳が、機嫌を良くした猫みたいに細められる。

「しょーがねーなー、それで許してやるよ」
「届かないからしゃがんでよ」
「いいけど。その代わりほっぺじゃなくて口にしろよ」
「……わかった」

それとホラ、五条くんおつかれさま〜、だいすき〜、あいしてる〜、さんはいっ!と手を叩きながら促してくる彼に「そーゆーことするから誰も褒めてくれないんだよ」と呆れた顔で手を伸ばした。


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