「…………」
「フフ……そんなに熱心に見つめられると、さすがの私も困ってしまうよ」
「……冥さんって、ホント昔から変わらないよねぇ」
「それは褒め言葉かな?」
「もちろん!髪も肌も相変わらず綺麗だし、いくつになってもスタイル抜群だしさぁ……何か秘訣でもあるの?」
「秘訣?フム……そうだな……」
「(ごくり……)」
「金だね」
「……それは、高級サロンやエステにお金をかけるという意味ではなく?」
「まさか!そんな不確かなものに金を払うくらいなら、紙幣に頬ずりしていた方がマシさ」
「紙幣に頬ずり」
「金があれば人の心に余裕ができるだろう?その余裕が、私の美を保つ秘訣かな」
「はぁ……」
「ハァ……さすが姉様……」
「あっ出たな憂憂!」
「オマエ、アポなし訪問とはどういう了見だ!姉様はお忙しいんだぞ!」
「ああ、いいんだ憂憂。彼女は特別だから」
「……姉様、それはどういう……?」
「フフッ!彼女の術式、使いようによっては用益潜在力が果てしないんだよ……いつも私の事務所に入ってくれと勧誘しているんだが」
「そんな理由で入りませんって何度も言ってるでしょう……」
「お、オマエ…………」
「うわっ、ちょ、憂憂!!冥さんの斧を振り回すんじゃない!!!」
「姉様に必要とされているのに断るとは何様だ!!贅沢という言葉じゃ済まないぞ、この身の程知らずが!!」
「そこまで!?……だって、冥さんの言う『用益潜在力がある』ってつまり」
「たとえ『金ズル』だとしても、姉様に求められているならばそれで十分でしょうが!!」
「は、はっきり言いやがったコイツ……」
「フフ、憂憂は愛いやつだよ」
「姉様のためなら死ねます」
「(勧誘してくるわりに新参者を受け入れる雰囲気じゃないんだよなぁ……)」


(冥さん)
(おや、五条くん。キミとの約束は明日じゃなかったかい?)
(……アイツに何か吹き込んだでしょ)
(うん?話が見えないな)
(ここ数日、急に『冥さんのとこで働いた方が将来安泰かもしれない』とか言い始めたんだけど……)
(!ハハッ、それは賢明な判断じゃないか)
(人のカノジョを金ズルにするのやめてくれる?)
(人聞きが悪いことを言うね。私はただ、彼女が今後入り用になるだろう金や休暇を保証できると言ったまでだよ)
(……………どこまで聞いたんだよ)
(五条くんが父親になる姿なんて全然想像できませんよね、というところまでかな)
(……)
(少し早いが、おめでとう五条くん)
(……ドーモ)


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -