順平と保健室常連の女の子
「やっほー順平くん」
「うわ……」
「何だいその顔は」
「またいるなぁと思って……ここに住んでるの？」
「いやだな〜下校時間になったら私だって家に帰るよ」
「それまではずっといるのか……」
「順平くんこそ、最近よく来るじゃない。虚弱体質にでもなった？」
「……体は問題ないけど」
「そう、ならよかった」
「……さっきから気になってたんだけど、何してるの？」
「ツメ切ってる」
「家でやりなよ……」
「なんか最近、ツメが伸びるのが早く感じるんだよねぇ」
「ふーん。ツメって、季節によって伸びる速さが違うらしいよ」
「そうなんだ！」
「確か一日に約0.1ミリずつ伸びてて、ツメ一枚生え変わるのに半年くらいかかるんじゃなかったかな……もちろん個人差はあるけどね」
「……順平くん、ツメを剥がされた経験でもあるの？」
「え！？無いけど……」
「やけに詳しいからさ」
「ああ、好きな映画でツメを剥がすシーンがあった時に気になって調べたから……」
「ええ……？順平くん、そんなスプラッタ映画が好きなの……？」
「あの映画はスプラッタではないよ。ちょっとグロテスクな描写はあるけど」
「へぇ……(違いがわからん……)」
「僕はグロテスクな表現というよりB級ホラーそのものが好きで……普段映画とか観ない？」
「たまに観るけど、そーいう怖そうなのは観ない……」
「“そーいう怖そうなの“で一括りにして観ないのは損な映画がたくさんあるんだけどなぁ」
「……怖いだけじゃないのもあるってこと？」
「！うん、興味があるならDVD借りてくるけど」
「本当？順平くんのオススメなら観てみたいかも……」
「分かった。明日にでも厳選したやつ何枚か持ってくるよ」
「ありがとう！楽しみだな〜」
(うわっわざわざパソコン持ってきたの！？)
(だってせっかくなら順平くんと一緒に観たいじゃん)
(この保健室、先生はいつもどこにいるんだ…？)
(わ〜たくさん持ってきたねぇ！どれから観る？)
(ええと、最初はまず万人受けしやすいコレから…)
(おっけー！レッツ映画鑑賞！)
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二人ともいじめられっ子で基本的に校内に居場所がないので保健室の先生は大目に見ています