虎杖と先生



「先生!」
「虎杖くん。どうかした?」
「えーと……先生あのさぁ……」
「ん?」
「歯医者、行かない……?」
「…………んん?」
「先生は何も聞かず俺と歯医者に行ってくれればいーから!あとはただイスの上で寝てればいーから!」
「……」
「ね……?」
「誰の差し金だ」
「家入センセイ……」
「だーーっ硝子!!よりにもよって虎杖くんを使うだなんて意地が悪い!!」
「先生、歯医者怖いの……?」
「ほら虎杖くんはこーゆー純粋な眼で見てくるから!!!!伏黒くんや野薔薇ちゃんに蔑まれた方がまだマシ!!!!」
「歯医者、俺十年以上行ってないんだよなー。確かに怖かった憶えはあるけど……」
「あーいいよいいよ!!高校一年生に気遣われると泣きそうになっちゃうから!!」
「……あのね先生、家入先生が言うには、今行っとかないと後々エグいことになるらしくて」
「ウン……それは硝子本人からも言われてて重々承知の上なんだけどね……」
「前に何かあったの?」
「……歯を削るためのドリルで、舌をちょっとだけ切ったことがあって……」
「ゲッ痛そ!!それいつの話?」
「小三」
「……先生もかわいいとこあんだね」
「ウウ、生徒からの哀れみの視線が痛いよぉ…」
「そんなに心配しなくてもダイジョーブだって!先生、もういい大人なんだし」
「サラッと心を抉ることを言うね」
「んー……それでも怖いなら」
「わっ!」
「俺が手握っててあげようか?」
「…………ええと、もう握ってるけど……」
「このまま歯医者にレッツゴー!」
「えっ」


(……硝子)
(おお、虎杖くんから聞いたぞ。ちゃんと歯医者に行ったんだって?)
(高校生に手を引かれて連れていかれたことを「行った」と言えるなら、行った……)
(ブフッ)
(オイ笑いごとじゃねえぞ。その可愛いお口を二度ときけなくしてやろうか)
(悪かったよ……まぁでも、虎杖くんに頼んで正解だったってことか)
(……お願いだからもう彼には頼まないで)
(キミ、虎杖くんの前では特に大人ぶりたがるよね。なぜ?)
(えっ……な、何でだろう……?)
(……まぁ善処するよ。キミが大人しく私の言うとおりにするならね)
(はいはい、私も善処しますよ)


(先生の手、思ったより小さかったなぁ……)
(虎杖どうした?顔赤いぞ)
(へっ!?あー……家入先生、また俺に頼んでくんねーかな)
(?ボサッとすんなよ、行くぞ)
(おう)


ーーーーーー
わりと達観してて大人な虎杖(高一)に大人の尊厳をぶち壊される先生


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