高専に折り返すので、少し寄りますね。
任務からの帰り道。道沿いにあったコンビニの駐車場に車を停めると、運転席の補助監督は電話をかけて話し始めた。相手は高専にいる同僚で、どうやらあちらの仕事の引継ぎでトラブルがあったらしい。「まだかかりそうなので、コンビニで何か買ってきてもいいですよ」申し訳なさそうな顔で振り向いた補助監督の言葉に、私は七海と顔を見合わせた。

「私は別にいいかなぁ」
「飲みもの買ってきます。欲しいものがあれば、一緒に買ってきますけど」
「あ〜……じゃあゼリー!味は何でもいいよ」
「……それ、夕飯じゃないでしょうね」
「え!?アハハ…そんなわけないじゃん…」
「…まあいいですけど」

疑わしげな七海に、目を泳がせながら答えたらハァと溜息を吐かれた。全て見透かされているという感じだ。それでも、さらに突っ込むことはせずに車を降りていった彼の背中を、内心ほっと安堵しながら見送る。……ここ数日、どうも食欲が湧かないのだ。毎日毎日キモチワルイ見た目の呪霊と対峙しているからか、はたまた長期任務も一週間を過ぎて疲れが溜まってきたのか……まあどっちもなんだろうけど……とにかく、体調が優れないのは確かだけれど七海に心配を掛けるわけにはいかないし。残りの五日間は何とか頑張ろう!
決意を新たに、だんだんと薄暗くなってきた景色を眺めていたら七海が戻ってきた。バタンとドアを閉めると、私との間にビニール袋を置いて中身を順番に取り出していく。

「ゼリーです。適当にフルーツミックスにしましたけど」
「わー美味しそう!ありがとう!」
「あと飲みものがお茶とコーヒーと紅茶、好きなの選んでください。それと…」

私と七海と補助監督の分であろう、三本のペットボトルをこちらに見せると、七海は最後にガサガサと何かを取り出した。白い紙に包まれた見覚えのあるそれに、私はぱちぱちと瞬きをする。

「…肉まん?」
「はい」
「ずいぶん季節外れな……」
「ゼリーしか食べない人にアイス買っても意味ないでしょう」

呆れた目を向けてくる七海に、私はもう一度瞬きをする。彼は包み紙の上からそれを半分に割ると、片方を私の前に差し出した。「半分なら食べられるんじゃないですか?」そう言う七海の顔と、受け取ったほくほくの肉まんの半分を交互に見つめる。私の視線がうるさかったのか、彼は気まずいようなバツが悪いような顔で目をそらすと、持っていたもう半分の肉まんにぱくりと食いついた。私も七海にならって、久しぶりのそれを頬張る。

「……食べれる。美味しい」
「あと五日あるんですからね。倒れられたら困ります」
「うん、ごめんね」
「…謝らせたくて買ってきたわけではないんですが」
「!……ふふ。ありがとう七海」

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