目の前で、呪霊が塵になって消えた。これが最後の一体のはずだ。ほっとしたのもつかの間、右足にビキリと激痛が走りその場に座り込む。……ああそっか、呪霊の攻撃で吹っ飛ばされたとき、着地で足首を捻ったんだった。戦闘中はそれどころじゃなくて忘れてたけれど、今は正直めちゃくちゃ痛い。右足首はストッキングの上からでも分かるくらい、大きく腫れあがっていた。

「名前!!」

自分の名前を呼ぶ声に、顔を上げた。少し離れた場所で戦っていた七海が走ってくる。近付いてくるにつれ、その額から血が流れていることに気付き「七海、怪我したの!?」と叫べば、彼は不意を突かれたような顔をした後、ふらふらと私の前に膝をついた。

「いや、私は……大丈夫ですけど」
「でも頭から血が」
「これは掠っただけなので。…それより、アナタが」

急に動かなくなるから。そう言って、七海はハアと深い溜息を吐いた。心配しました。声には出さなかったが、そう続く彼の言葉が聞こえた気がした。

「立てますか?」
「うん。………ごめんムリかも」
「…車まで背負いますから、掴まってください」
「え、いいよ……肩貸してくれればそれで……」
「何遠慮してるんですか」
「だ、だって」
「……」
「七海、私のこと背負ったら折れそう…」
「……」
「え、ちょ、うわっ!何怒ってんの!?」
「いいから早く掴まってください(この人は本当にいつまで経ってもこういうことを)」

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