今、此処で、この場所で
どうしてオレは生きて呼吸をしているのだろうと思う、時がある
言いようのない孤独感と虚無感に苛まれながら、好きだと思い込んでいるだけかもしれない音楽に耳を澄ませる

オレの生きている理由は?
生きていても良い理由は?
生まれた理由は?
プラチナブロンドの自称王子には「ほんとにボス?」と言われただけだった
こんなことを考えているのはオレらしくないと言いたかったんだろう



「ボス、最近頭痛が酷いって言ってたでしょう?」

「あぁ」

「真面目にやってるかは微妙だけどデスクワークが多いから肩凝りなんじゃないのかなって」

「あぁ、そうかもな」



オレはこの先どうなっていくのか
どうしていきたいのか
必要とされているのだろうか
通常なら馬鹿らしいと考えもしなかったことが頭を巡っているのは全てコイツのせいだ
オレはこの女を愛している
だから



「医療班の人に診てもらう?」

「いや、いい」

「でも頭痛する程の肩凝りってよっぽどよ?」



オレの髪を優しく撫でる手を取り引っ張る
大人しくオレに納まるコイツがどうしようもなく愛おしかった

コイツもオレと同じようなことを思っていたりしたら良いのに、と
気色悪い程女々しい自分に少々吐き気がした



「大丈夫?」

「あぁ」

「大丈夫じゃなくなる前にちゃんと言ってね」

「あぁ」

「あなたが死んだら私、生きていけなくなるんだから」



おいおい…
いとも簡単に、オレの悩みは解決されてしまった
あんなことを考えていたなんて"馬鹿らしい"とさえ思わせてくれた

そうかオレは、コイツのために生きているんだ



理由も無しに生きられるほど強くも弱くもなかった





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