デイダラに覆い被さり、トビは自ら、一匹だけ煙に消えずに生き残ったスズメバチを袖口に誘い込んだ。

「トビッ!」

スズメバチが袖口に侵入した一瞬、まるで中身が無くなったように、トビの暁のマントだけがフワッと浮き、沈み、背後から狙っていたシカマルの影は対象をつかみ損ねた。

(チッ、外した!………スズメバチは…どうだ?)

数秒後、スッと、また面の男が怪鳥の上に立ち上がったのが見えた。しかし、ダメージを受けた様子はない。スズメバチも戻って来ない。失敗だ。

「トビ、大丈夫かっ?!………ははは!!木の葉あ!攻撃はそれだけか?うん!」

デイダラが笑ったり怒鳴ったりしている横でトビは、先輩、調子いいっすね〜と言いながら、右目の写輪眼でじっと、木の葉暗部たちを観察した。

(神威で蜂を異空間に飛ばしてやった。
……あの狐面の暗部、なんか見覚えがあると思ったら………。あの怨念みたいなチャクラからして、あれはどう見ても……、…飛段だろう………!何でか体は繋がってるようだが…。
どうりで、他の奴等が遠距離で仕掛けてくると思った……あれが本当に飛段なら、ちょっとの流血でも、取り込まれたら命取りになる。
デイダラは気づいて……ねえのか。……セ ン パ イ。。笑)

「……にしても、木の葉……やることが腹黒え……まっ、鉄則ですけどね〜」

「…何か言ったか、トビ!?うん!」

「先輩、あれ。誰だと思います?……あの、4人居る内の狐面の男」

「……うん?!…………この感じだと、……いや、、あいつはもう木の葉にバラバラにされたって話だろ……?…え、まさか………!」

デイダラは集中した。そして狐面のチャクラを感じ取り、信じられないという声で叫んだ。

「はああー?!てめえ、よりによって木の葉に使われてんのか!」

まさか、飛段が敵方に居るとは。
デイダラは口の端を歪めて笑った。

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