シカマルは飛段の足の間から立ち上がり、拘束され身動き出来ないまま地面に倒れている飛段を、足で転がした。フーが心転身を解き、自分自身に戻ると、途端に飛段が唸り出す。
サイは訝しんだ。

(…木の葉に離反しない為にダンゾウ様がかけた縛りの術が、こんなにも効かないなんて。飛段は何か特殊な体質なのか……。
それに…そもそもシカマルは飛段に禁術をかけたのだろうか…?
相変わらず一触即発の雰囲気は続いてるし、もちろん普通に接するのは当然無理とは分かっていたけど……)

フーは、静かに二人のチャクラを感知し分析した。

(…シカマルのチャクラ、飛段のチャクラどちらも共に乱れている。…お互い、憎悪は果てしなく燃え盛っているようだが、完全にリンクしているとは言いがたい状況だ。
……仕掛けた禁術は戯れ事程度で発動するかと思っていたが………まだ、結び付きが万全ではないということなのか。

確かに、昨夜からまだ二人には……そんな時間もなかった。)

その時、ドォン!…ドォン!と、地鳴りがして、辺りの木々がなぎ倒された。爆風に煽られた木の破片が、バラバラと降ってくる。

「……上空!!」

サイが、鋭く声をあげた。蛇は墨化し、飛段は、クソッ!へびとかマジでやめろっ!と喚きながら立ちあがり、面を斜めに被った。
白い怪鳥が舞っている。背には黒い影が二つ。

(((…暁ッ!)))(デイダラ…!……トビ〜…!)

「てめーら!空から丸見えなんだよぉ、うん!!」

忍ぶつもりなど更々ない声が聞こえてくる。

(…頼む!)

サイは巻き物をシュルッと開き、あらかじめ仕込んでおいた小隊を召喚した。

「…超獣戯画!!」

スズメバチが唸りを上げて飛び出した。

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