サイは、シカマルを目で追った。
自分が病室を去ってから、何があったかは知らない。だが、シカマルが半日のうちに変わった気がした。

昔から、サイにとっては、感情をぶつけられることも、すげなくされることも、自分をすり抜けていくただの事象に過ぎなかった。
シカマルに今、少し距離をとられたくらいでは動じない。だが何かあったのだと確信した。

(隊長が何か画策しているかもしれないと思って、さっき放った蜘蛛でシカマルと飛段の昼食を探ってみたけど、暗部特有の薬は施されてはいなかった。)

ーー禁術…かーー。

サイは目を伏せ思案した。

シカマルが飛段に禁術をかけることで、隊としての結束が固くなるなら、任務としてはやり易い。
しかし、禁忌を犯した術というのはフィジカル、メンタル問わずリスクを伴う。
ましてや、暁討伐が続く間持続させるとなると、定期的に術をかけ続けなければ同じ効果は得られなくなるはずだ。
暁を暗殺すべく、飛段を支配下に置くための縛りは不可欠とはいえ、殺したい相手に仲間で居させる為の術をかけるのは、彼にとっては負担になるのではないか。

互いに信頼し合い、全力を出しきって戦っても勝てるかどうかの敵を前に、ともすれば空中分解してもおかしくない、この隊の危うさをサイは感じていた。

その時、背後から、

「あー、くそダリィ〜…」

分かりやすい声がしたので、サイは少し構えた。
首をパキパキ鳴らしながら、面をずらして装着した飛段がそこに居た。
飛段はサイに、ビビッてんじゃねえよ、何もしてねーだろ、といい、

「…この面、息苦しくねえ?」

ととぼけた。そこへ隊長がやってきて、揃ったようだね、と言った。







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