シャワーが終わる頃に、看護忍の、服を洗っておきました、という声が聞こえた。出ると、バスタオルの横に、確かに自分の暗部装束が置いてあった。一張羅だったのに、もう使い古した感じがした。
(…体を拭いて着替えたら、一服したい…)
シカマルは初めて心から煙草を吸いたいと思った。これまでアスマの真似をして吸ってみた時は、涙が出てむせるばかりでちっとも旨くなかった。
アスマの弔い合戦――任務というよりシカマルにとってあの戦いは弔い合戦以外の何物でもなかった――に出掛ける前は不思議と吸えた。
頼れるものが何もない精神的に不安定な今、とにかく気を落ち着けたいと思った。



(……禊 (みそぎ) ……って柄でもねーか……)
飛段は髪から流れ落ちる湯を見ながら思った。木ノ葉に繋ぎ合わされた時に入れられた手首の刺青――ご丁寧に罪人と同じ――に改めて気づき、飛段は角都を思い出した。この、クソ暗部で、シャワーを浴びている間にも、時間は無情に過ぎていく。今までは時間を気にしたことはなかった。角都にも自分にも時間は無限にあったのだから。

角都のことを考えると、早く暁を倒さなければならないが、この任務を全うしたからといって角都が助かる確約はない。
しかし、訳の分からない術に翻弄されても、遂行しなければならない。
あいつが助からなければ永く生きる意味なんて無い。

飛段は、シャワー栓を全開にして熱い湯を浴びた。

着替えて、病室の窓を開けると、先にあがって廊下のベンチで煙草を吸っているシカマルと目が合った。
途端に、飛段の脳裏に例の、彼の言葉を借りれば、「ケガシ合った」ビジョンが有無を言わさず飛び込んでくる。
(…クソッ!)
頭を押さえ、舌打ちをして窓をピシャッと閉め、整えられたベッドにドカッと腰を下ろす。今まではただ、ビジョンが見えるくらいだったが、今は……体が、敏感に反応してしまうのだ。それがまた、飛段をイライラさせた。


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