(――そういえばこいつも滝の裏で妙な様子だった。)
シカマルは飛段の妖しい瞳の色を思い出した。話しかけるのも嫌だったが確かめてみなければならない。

「貴様も…心転身を喰らったのか?」

とシカマルが問うと、飛段はイラッとした表情で文句を言い出した。

「……ああ?……確かに……よく分からねえが、術掛けられてお互いにケガシ合ったみてえだよな、どう見ても……。
…ったく、何が楽しくててめえに体まさぐられなきゃならねえんだよッ……どーでもいいけど風呂ぐらい入んねえとやってられねえっつーの!」

シカマルはカチンときて言い返した。

「……風…呂?……そんなもの、俺だって入りたいに決まってるじゃねえか!!…それに最初はそっちが俺にちょっかい出してきたんじゃねえか…!……
それより貴様、今がどういう状況か分かってねえみたいだが、心転身は木ノ葉の術、それも隊長の一族のものだ。俺らに掛けたのは隊長かも知れねえんだぞ!これがどういう事か分かるか!?」

「…わ…ッかる訳ねえだろーが、こんガキャー!俺は木ノ葉サイドのゴタゴタだろうが裏切りだろうが、そんな事はどーでもいい!体!きれいにして仕切り直してぇだけだ!」

飛段はきびすを返し、もうすでに傷口の癒えつつある足を引き摺りながら呼び出しのボタンを押して叫んだ。

「……飛段だけどよー。拘束は解いたぜ。っつーか影遣いが解きやがったぜ。ふん!このままじゃ任務遂行できねえから、ちょっとその前にひとっ風呂浴びさせてくんねえ?」

シカマルが疑惑を晴らせないまま、呆然と飛段の動きを目で追っていると、あたふたと看護忍がやってきて、それぞれの病室のシャワールームの鍵を開けてくれた。
とりあえずシャワーを浴びている間に二人の病室を整えてくれるらしい。シカマルの肩の傷は看護忍によってしっかりと保護され、飛段の足の傷も薬を塗られた。
心転身も、飛段への制裁も、多分極秘なもので、暗部病棟の管轄外のようだ。看護忍たちは表情こそ変えないが、床の血溜まりや鎖の破片に明らかに動揺していた。

「…シャワー浴びて寝てりゃ、またお沙汰もあるだろーよ。」
と、飛段が明らかに嬉しそうにシャワールームにいくのを、シカマルは、

「…お前も隊長も……、サイも………俺は手放しで信じることはできない」

と、暗い声で引き戻した。

「……馬鹿野郎、この隊で信じられる奴なんかいるか!!

自分だけ信じて暁殺るしかねえだろーが。」

俺なんか敵サイドだからよー、いつ何どき貴様らに殺られるか分かったもんじゃねえよ!まー、死なねえけどよー、と言いながら、飛段はシャワールームに消えた。

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