「…いっ……!」
耳に、激痛が走る。飛段に、凝固し始めた生々しい傷を触られ、ビリッと電気が走るような痛みに襲われる。

急に、シカマルの視界が開けた。意識がはっきりする。

シカマルは、目の前の飛段の下半身に面喰らい、飛段自身に歯を立てそうになって咳き込み、バッと身を離した。戻った…!…だが、こんな場所で戻るとは。意識の外で何をしていたか、嫌でも分かる。自身の口内から喉にまで残る行為の名残が、雄弁に語っている。
体の血が逆流し、殺気を帯びたチャクラが冷たく体内で燃えるのを感じた。

「…許さねえ……!……クソ…!」
(…何処に居る!?…術者……心転身の…術者!)

シカマルがいきなり飛段から離れたので、影の拘束が一気に弾け飛び、解けた。飛段はいきり立った己の欲望をぶつける先を無くし、グハッと息を漏らしてシカマルを睨んだ。

「…はぁ?!こ、このクソガキャー……!いいトコで……!……つか、てめえ、殺す!!」
喚く飛段に見向きもせず、シカマルは病室のドアをバッと開けた。
先程、この部屋に迂闊に入った時、羽交い締めにされて意識を失ったのだ。入れ替わった輩と同じタイミングで意識が戻っているのだ、まだ遠くには行っていない筈だ。

床の一部が暖かい。ここに心転身をして倒れ込んだのだろう。同期のイノが心転身した時にサポートする立場上、術者のサポーターは確実に居るだろうことは推測できる。

あの術を遣う者は山中一族だけの筈。今この臨戦体制下で、山中姓を名乗る主力の者たちは、当主のイノイチを本部に残し、各隊の通信役として任務に出ているのではなかったか。

嫌な予感がする。

里に残る者の中で、あれを遣えるといえば……現隊長のフーを疑うべきではないのか。
暗部に他にも山中姓の者が居るかもしれないが、分からない。シカマルはムカムカする気持ちを押さえられず、唸った。
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