ギシッとベッドが鳴り、飛段がシカマルの気配を感じて、うっすらとこちらを見たのが分かった。
「…か…」
何か聞き取れない。もう一度、飛段が何か言ったが、分からなかった。
その時、頭に、飛段が自分に濃厚なキスをし、貪るように服を脱がすシーンが浮かんだ。
(……!…また、こんな映像!)
だが逆に、凄惨なこの場面ではそのイメージを頭から払いのけることが出来た。
シカマルは冷静になって考えた。目の前の飛段をどうするか。
こいつは仇だ。生かしておいても厄介なことにしかならないだろう。暁に本当に対抗できるかどうかも怪しい。
火影命令さえなければ……!と心底思う。アスマを喪った後、あの任務を受けなかったら、とまで思った。だが、そうすれば他の班が犠牲になるだけだ。アスマの死は避けれなかった。それを無駄にしないためにも、これから暁を殲滅する任務には、木ノ葉の忍なら全力で向かわねばならない。たとえどんな確執があろうとも。
シカマルは飛段の猿轡を影で切った。
フハ、と息を吸い込んだ飛段が、ゲホゲホ、と咳をした。
「……?、……てめえかよ……!」
イラッとさせる声音で飛段が言った。シカマルがそれ以上何も動かないので、飛段は怒鳴った。
「…………!……突っ立ってねえで、これ…!!…何とかしてくんねえ?!?……クソッ……歩けねえぜ…これじゃ…。……………ぁ……それとも………」
飛段は片方の眉を上げた。
「殺るか………?…………チャンス到来ってな………?」
「…黙れ。」
シカマルは言い捨てた。
飛段は物騒なギラギラした目で睨んだが、急にグッ、と低い呻き声を上げた。血が、またポタタッ、と落ちる。血の出どころを、飛段の腱の切れた所を見ると、蟲遣いの蟲が飛段の腱を食い千切っていた。多分腹が空いたら食い付く習性を利用して、時間をかけて喰わせ損傷を継続させるのだろう。シカマルはむごさに目を背けた。
「痛えのを一人で楽しむとか俺の趣味じゃねえ。
使えねえなら拷問とか……まあよくある話だけどよ……ケッ…!木ノ葉の汚なさも半端ねえな…?シカマル。」
飛段は顔をしかめて笑い、言った。
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