(…あー、…イラつく…。)
飛段は用を足した。
暗部病棟のトイレの薄暗い灯りが、風に揺れて影を揺らめかせたかに見えたが、気づくと、いつのまにか隣で用を足していた男が、低い声音で問うた。
「……演習はどうだ。…手こずらせておるのではないか。」
ダンゾウだ。事の顛末を知っていて、面白がっているようだった。
飛段は胡散臭そうに手を洗い、黙って鏡越しにダンゾウを見た。歯向かうのは得策ではない。
(もう知ってんじゃねえか…ついでにてめえの縛りがお粗末だったって言わねえのか。…っとに、食えねえ爺だな。)

「…そういえば……」

その次ダンゾウの口から出た言葉に、飛段は体に電流が走ったように感じた。

「…相方が、昏睡状態から目覚めたそうだな。ーー。」

――っ?!?……角都が………目覚めた!?……――

「とはいえ、まだどのぐらい動けるかも定かではない。実戦レベルには程遠い。何処ぞの男のように都合の良い身体ではないのだからな。取り合えず、やるべきことに集中しろ。
貴様が木ノ葉に逆らえば奴が命を落とすことになると肝に命じておけ。」
「何処にいる?」
飛段は間髪入れずに聞いたが、ダンゾウはさらさら教える気などなく、無視して行ってしまった。

角都が生きている。俺も生きなければ。不死を継続しなければ。


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