サイは、背中に担いでいる隊長が、ゴホッ、グホッと息を吹き返すように咳き込んだので、立ち止まって様子を伺った。すると、背中から疲労した声が帰ってきた。
「…助かったよ、サイ。戻った。」
「…はい!良かったです。」
サイはしっかりと隊長を背負い直すと、
「彼らは見つかりましたか?まだ、蛙からは何の連絡もないのですが。」
と言った。隊長は、
「…無事だ。私は少し回復してから、君と彼らの避難場所に行こうと思う。すまないが、洞窟まで運んでくれないか。」
サイははい、と返事をして筆と巻物を取りだし、大鷲を描いて出すと隊長を背負ったまま乗り、洞窟へと向かった。



「……ウ………ッ……、…」
体の中心が熱く、血がそこに集まっていくような快感を覚えると同時に、殴られた痕の激しい痛みも覚醒されて、シカマルは目を覚ました。 いつのまにか飛段が膝に移動し、シカマル自身を服の上からゆっくりと指でまさぐるのが見え、その快感で目覚めた現実からシカマルは目を背けた。否応なしに勃ち上がっていくのが分かるのに、乗られた重み、負傷だらけの体、そして疲労で、体勢を変えることが出来ない。指を封じられ術も繰り出せずにこの男にされるがまま、そんな屈辱に甘んじなければならないのか。

けれど体の感覚は精神で抑えきれるものでもない。殊に性欲はそうだ。布地越しに先を吸われてシカマルは思わず声を上げそうになった。それだけでもイヤに感じるのに、暖かい息と歯や舌が、執拗に焦らし、絡みつく。完璧にいたぶられているとしか言いようが無いのに、腰がつられ、背筋にゾクゾクと言い様のない感覚が走る。
アスマの仇に襲われるなど、おぞましい事なのに!と頭の中で叫べば叫ぶほど、快感と憎悪がせめぎあう。

スッと飛段が体から離れ、今度はシカマルの口許に食らい付いてきた。先ほどとは比べ物にならない激しさのディープキスを受け止めるのがやっとで、もう頭がパンクしそうになる。理性が、持たない。感覚に引き摺られ、自身が勃ち始めたのが分かる。息を吸うために唇を外した飛段の眉根を寄せた顔は、シカマルをドキッとさせた。貪欲で、痺れるほどエロチックな瞳が暗く光っている。この目だ。さっき、殴られて失神する前にこの目を見てから、飛段から目が離せなくなった。何かの呪いに懸かったような、自分が自分でないような……現にこんな行為を拒めない自分が普通ではない。
飛段は、そんなシカマルをじっと見つめながら左の中指をシカマルの唇に這わせた。飛段を睨んだものの、先ほどからの攻めで押し寄せてくる快感の波に、シカマルは苦しそうに目を閉じた。飛段は下半身に下がっていき、焦らしながらシカマルのズボンを引き剥がし、そそり勃ち先走るモノをソロリと口に含んだ。シカマルの足が強張る。

ズポッとわざと音をたてて舐め、扱く。異常なシチュでのこの攻めは、シカマルを破壊するのに充分だった。
「……ァッ……あッ……ハ、……」
とうとう、シカマルは飛段の指に舌を絡め、湿った喘ぎ声を滝の裏にこだまさせながら、飛段の口の動きに腰を振った。

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