「…ふふ…。ざまあねえな。いいねえその顔」

恐怖と絶望の淵に立たされたシカマルは、下から見上げる飛段のにやけた声と顔に、心底憎悪と憤りを感じた。左手で防いでいるクナイの切っ先を暗部の甲冑へとねじ曲げ、力を振り絞って飛段の首筋に刺さった千本を抜き取り、一本をまた胸あたりを狙って打ち込もうとしたが、それはうまくかわされ、弾かれ、岩の上をカラカラと転がって滝に流されてしまった。残りの一本を構え、シカマルは飛段を睨んだ。

「…あーあ。無駄遣いしちまったな。……けど……そんなに抵抗されると…別の意味で変に燃えてくるじゃねえかよ」

低い声が、そして息使いが耳元で聞こえた。さっきより飛段が近づいている。

「……ガキは嫌いだ。だが怖いくせにやり返してくるガキは面白れえ。

……もっと……抵抗してみろよ………なあ……シカマル…」

そう言いながら、飛段はシカマルの耳を甘噛みし、ピアスを舌で転がした。シカマルもさすがに飛段が何をしようとしているのか悟った。
殺す前に…いたぶる気だ。くそっ。

「…やめ…ろ」

「…もっと……だろ?……」

「…!つッ…!」

左手に痛みが走る。千本を持つ左手をクナイで刺され、シカマルは千本を落としてしまった。右手は逆手になったまま、背中で痺れてきた。頼みの足も、飛段の膝がそれぞれ封じているので、シカマルは完全に身動きが取れなくなった。それでも、なんとかもがいた。両手で印を結ばなければ…!シカマルは必死だった。
しかし、飛段はシカマルの耳に舌を這わせるのをやめなかった。信じられないことにその舌は少しずつ移動して唇を割ろうとしてくる。

「…ハ、…」

この異常な、命を奪われるかもしれないシチュエーションで、シカマルは頭がおかしくなりそうだった。全く本人の意思に関係なく、体の奥に芽生えつつある変な感覚に、激しく動揺していた。

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