指の間から流れた血が一筋、冷えた皮膚を温く流れて、濡れて張り付いたズボンに染み込んだ。激しく動悸がする。飛段のクナイを押さえていては印が結べない。だがそれは飛段も同じだ。どちらが先に動くか…こいつは、ダンゾウの息のかかった仇であり、どんな術で縛られていようとも、油断のならない相手だ。木ノ葉サイドを襲うことはない、という言葉を、決して信じることは出来ない。
飛段の瞳の奥を探りつつシカマルは考えた。滝に落ちた時からそんなに時間は経っていない。あたりを見てもこの滝裏に陣形は無いようだ。万が一血を取られたとしても今はまだあの呪術は使えないはずだ。だが、陣形が既にどこかに準備されていたら?それが近いか遠いか、それは命を落とすまでどれくらいかかるかの差であって、どのみち結末は変わらない。
(一か八かクナイを離し、こいつを影縫いして動きを封じるか…!)
陣形に行かせなければいい。だが、それがいつまで持たせられるか。その間にサイが助けにくるだろうか。数十分の拘束ですら自分の方が体力が持たない。シカマルは必死に考えたが、結論としてもうクナイを離すことも自殺行為としか思えなくなった。

飛段はクナイの手を緩めず、岩肌に突いていた右手でガッとシカマルの首を絞めてきた。シカマルは必死に右手でポーチを探った。隙を作る武器…奴に多少のダメージを与える武器……、あった!苦しくて目の前が霞んできたが、それでも握りしめた千本を飛段の首筋に打ち込んだ。
「…痛ってえ!!」
大げさに飛段は叫ぶと、シカマルの首を離し、クナイを突き付けたまま右手に持ち変えると、シカマルの右手を逆手に壁に押し付けた。
「…いっ…!」
今度はシカマルが叫ぶ番だった。飛段の顔がシカマルの左手に近づいていく。シカマルの反応を面白そうに見ながら、飛段はまだ細く流れている血を舌でペロッと舐め取った。

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