何が起きたんだ?!息が、息が、できない!シカマルはパニックと同時に状況を把握したが、口に入ってくるのは空気ではなく水で、咳き込むことすら出来なかった。
深い水の底に叩きつけられ、水の速さにもがくうち、面が外れ、それが泡とともに少しだけ明るい方に激しくもまれながら上がっていくのが見えた。息が……、続かない…!…俺もあの方向に行かなければ…。
その時、黒い影が目の前を横切り、体ごと引っ張られるのを感じた。もがけばもがくほど強い力で押しきられる。激しく咳き込んで水を吐いてやっと、水から解放されたと気づいた。滝の裏のようだ。そして誰か側に居るのを感じた。
冷えた白磁のような肌に滴る水滴。それを払った指でかき上げる銀髪が視野に入り、戦慄が走った。それは暗部装束を着た飛段だった。
「…もがき過ぎだ貴様!!…落ちたのはまあ計算外だったが、やっと二人きりになれたぜ。」
シカマルはまだ咳き込みながら後退りし飛段を睨んだ。それを面白そうに見返しながら飛段は言った。
「…助けてやったのに礼は無しか。いいぜ。どうせてめえは不服なんだろうよ、この任務なんざ。」
シカマルは、背に岩が当たっていて逃げ場がないのに気づき、近づいて来る飛段を避ける手立てを必死で考えた。飛段の左手にいつ握ったか知れないクナイがある。シカマルは自分の右足のホルダーが開いているのに気づいた。俺のだ。そう思った時、クナイを突きつけてきた飛段を左手で防いだが、間に合わなかった。



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