木ノ葉は本当のところ、暁の情報に精通しているとは思えない。どのツーマンセルと戦うとしても、このガキどもと自分で奴等を倒すには先制あるのみ。血を採らなければ勝率は1%もない。
飛段が見上げていた空が、段々灰色を帯びて、雲行きが怪しくなってきた。
角都は大丈夫だろうか。ふと、思い出した。
飛段の癖だが、角都をつい心配してしまう自分がいる。角都からしたら大丈夫だ!というような事ではあるのだが。条件は違うが、同じく不死に近い角都と若い頃から一緒に居るおかげで、考え方や闘い方やその他もろもろ学んだことは数知れない。角都は戦闘好きだから好戦的な自分とは馬が合うのも良かった。だからこそ居なくなってもらっては困るのだ。本当かどうかは知らないが、あの森で戦闘中、ポニテが、舐めさせたのは角都の血だ、と言った。確かにポニテは死ななかった。だから当然、あいつの血ではないということになる。それで角都がダメージを受けていたら?俺のせいで木ノ葉にやられたとしたら?そこまで考えて、角都ならこう言うと飛段は思った。
――お前に心臓を一つ潰されたくらいで、俺が負けると思うのか?馬鹿かお前は!――
そんな懐かしい?罵倒を、角都の口調そのままに思い出し、まあ、上手く助け出せたらまず心臓一つ分の大目玉を喰らうのは必至だな、と思った。
黒地に赤雲模様の外套に身を包み、里から里へと人柱力を探して歩く旅。角都に付き合って金策で賞金首を狙うことも多々あった。果てしなく、そんな生活が続くと思っていた矢先、まあ、木ノ葉の策略にあって一度は絶体絶命の憂き目に遭い、なんの因果か九死に一生を得た訳である。このことについては飛段なりの解釈があった。

『ジャシン様は俺が地中で腐っていくのを良しとしなかった。』

つまり、まだ足りないのだ。
俺の所業がまだ、真の教義に迫っていないのだ。バラバラにされただけで、本当に死んではいないのだが、そんな状態にされたのはあのシカマルという生意気なガキが初めてで、実際かなりの危機だった。あれが続いていたら、どうなっていたか、なったことがないから分からない。
それでも、木ノ葉の手により『生き返り』、そして暁を討伐するという無茶苦茶な目的の為に『生かされ』、隣人の殺戮が再開すれば『生き続けること』ができる。それが不死の継続、つまりジャシン教の布教となる。

俺は生かされた。そして生き続ければ角都を救うことができる。

弱い奴を何人呪ったって面白くもクソもない。殺りたいのは、互角にやり合う奴、骨のある奴、恐怖を感じたとしてもそれでも向かってくる奴、俺に殺されかけながらも抵抗するような、ゾクゾクさせてくれる標的、贄だ。
暁のメンバーはめちゃくちゃ強い。そんな奴等は他にそう居ない。際立って凄い獲物を呪い殺す時、その痛みを伴う快感も最高潮に達する。既に何度か、二位ユギトや、地陸の時に経験済みだ。そんな奴らを倒したら、ジャシン様もお喜び下さるに違いない。忘れてはいけない、飛段は狂信的なジャシン教の信者なのだ。
飛段の腹は決まった。

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