「本気で俺があいつらを殺ると思ってんのか……?!」
飛段が低い声で聞いた。
「…君が根の治療室から飛び出して相方を探し回っていたのは知っている。仲間意識が無いように見えて、案外相方のことは気になると見える。あの男の命は君の一挙手一投足にかかっている。離反して死なせていいのか?答えは出ているじゃないか。それに、呪い殺せるなら暁だろうが何だろうがいいのだろう?」
フーは膝を折り、目線を同じくすると飛段の瞳をしっかり見据えて言った。
「私は君なら必ず暁を殺ってくれると信じている。」
飛段はその絶大な信頼を漂わせた言葉に開いた口が塞がらず、隊長の顔を5秒かけてまじまじと見たが、ケッと言って大の字に寝転がった。
(馬鹿かこいつは?俺はこないだまでお前ら狩ってたんだぜ?!)
まさかこんな展開が第2の人生で待っているとは。木ノ葉は大まじめで自分を暁討伐の切り札にしようとしている。あの、敵に回したら恐ろしい暁のメンバーを、本当に敵に回すのだ、角都の為に。――いや、角都の為だからこそ、全く構わない。俺は―。

飛段は思い出していた。抜け忍となって一人、日々教義に忠実に生きていた頃、ヤバそうな三人組が縄張りに入ってきたのにバトルを挑んで、ボロクソに負けたことを。そいつらは暁と名乗った。実は新規のメンバーの勧誘をしに来たというのは後から知った。来るつもりがあるなら我々は拒まない、と、勧誘自体はさらっとしたものだったが、その中の一人、角都の強さに惚れ込んで飛段は暁入りしたのだった。その後角都に何度も勝負を挑み、再三の挑発にキレた角都と何度も殺し合う一歩手前まで無茶をやり、決まってリーダーに吹っ飛ばされた。最初は皆、お互いを理解するのに時間がかかったし、目的が出来ても相変わらずバラバラだったが、個々の忍としての実力の桁外れな高さゆえ、すぐに傭兵集団として恐れられるようになったのだった。
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