かぶり慣れていないせいか、それとも数日うなされて体調不良だったせいか、飛段は息苦しくなって少し面をずらした。前方の二人が連携のメニューを黙々とこなし始めて小一時間が経とうとしていた。飛段は自分の演習メニュー(足で、それも血無しで陣形を描くこと)を不服そうにやっていたが、とうとうそれに飽きて、やっぱり実戦が一番好きだと思い知った所だった。
(昨日までの記憶がはっきりしねえが…、どうやら小隊にぶっこまれたようだな……。良く見りゃ俺をバラバラにした、あの悪夢にまで出てきた結い髪のくそガキじゃねーか。それに分身の俺を斬った墨使いのガキまでいやがる。こんな奴らと俺を組ませて何考えてんだよ、木ノ葉は。そーいやこの装束…通常任務じゃねえな。)
「目的は暁の暗殺だ。」
ふいに声が頭上から聞こえ、飛段は身構えた。すぐ側の木の上にいたフーが静かに地上に降り立ち、飛段を見下ろした。
(…こいつは、俺の世話焼いてたやつ。隊長か…。)
「君は木ノ葉の戦力としてここにいる。隊員に刃を向けてはならない。任務に協力しない場合は、また穴の中もしくは檻の中に戻るしかない。そしてその場合君の相方は、」
「殺されるって筋だろ、ハイハイ分かったっつーの。」
飛段は言葉を遮ってまくしたてた。
「嫌というほど夢に見たぜ。あんまり見すぎてもう慣れた。ありゃ現実じゃねえ。あの術をかけやがったダンゾウってやつも……!」
たいしたことねえな、と言おうとして、飛段はまた喉が締めつけられるのを感じた。
「…クッ…ソ…!この術……!イライラすんだよ全く!貴様ら何か勘違いしてるだろ!?……っとに…!俺はなあ、こんな術掛けられなくても別に呪い殺せるんだったら誰だっていい、何だってやんだよ!!任務だろうが任務じゃなかろうが関係ねえんだよっ…たく!」
「…忍というものの性だ。里を護る為、策は巡らせておかなければならない。君が暁を殺るのに躊躇がないならそれでいい。」
飛段はフーはジロッと見た。
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