次の日。演習の為、洞窟から続く抜け道を進むと、視界を遮る木々が鬱蒼と生い繁る中に突然滝が現れた。滝壺の周辺は演習を行うにはもってこいの広さがあった。フーはここで連携を図るという。
「演習用の地上の丸太や、宙に飛ばす丸太を暁に見立て、地上でも空中でも影縫いや超獣戯画で攻撃して採血カプセルのダミーをヒットさせる。それを後方の円陣で待機している飛段に渡す。その一連の動きをうまく連携させる為には、まずは個人のスキルアップだ。
サイの忍具である巻物の中に、予め注射式の採血カプセルを貼付しておく。超獣に掴ませる形で――たとえ足からでも――描き出すことくらい造作もないことだろう、サイ?
忍具を拾って投げるなど細かい動きが出来るシカマルの影術だが、その中でも影縫いは、それ自体が鋭い針状の攻撃形態だ。発動時に注射式カプセルを一部影に持たせることで、影縫いが対象を貫いた時その傷口から血を採ることができる。
ただ、こちらがそこまで攻撃する間に暁が黙っているとは思えない。血を取れなければなお苦戦することになる。まずは各々演習をしていこう。」
フーはシカマルとサイに演習メニューを渡し、飛段を呼んだ。
「…今日はどうにか自分で立って居られるか?」
飛段は無言で頷いた。
幻術から醒めたのか、昨日の夜はうなされていなかったのをフーは確認していた。ダンゾウ様がどんなものを見せたのか分からない。幻術というのは様々だが、見る者の心の隙を突くものだ。一番畏れているもの。それを回避したいと思うもの。回避するには術者の命令に従わなくてはならない。ダンゾウ様は木ノ葉の同胞を手にかけるな、と言い渡している筈だ。
少なくとも、飛段は自分の立場をわきまえているように見える。しかし油断は禁物だ。まだ禁術が完成していない。うっかり前線に出して裏切られないとも限らない。だから敢えて後方に着かせ、儀式の時は自分が飛段を傷つけ円陣を描かせるつもりで、フーは飛段に忍具を一切持たせなかった。


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