シカマルは怪訝な顔をした。
何故なら禁術の類いは何も極めていなかったからだ。
フーがしごく当然な言い方をするのも気に食わなかった。
「…なんか筋書きが既にあるみたいっすね。ダンゾウ様の計画っすか?俺には禁術なんて掛ける能力はないし、なんで俺なのか理由が分からねえ。」
シカマルは膝を正してフーに向き合った。
「…暁討伐はやります。暁の血を採って呪い殺させるのが戦略なら、影首縛りも全力でやる。けど、」
シカマルはそう言いながら、相変わらず具合が悪くこちらに背を向けて寝ている飛段を睨み、
「そいつに関わるのだけは極力避けたいんすよ、俺は。」
とキッパリ言った。フーはシカマルの目の奥が、怒りで生気を帯びたのを見た。
「俺にだって通したい筋ってもんがある…!」
サイがシカマルの腕を掴んだ。シカマルはサイを振り返り、感情に任せて、
「…ダンゾウは何を考えてる!?」
と言った。サイは少し困惑した表情を浮かべてシカマルを見た。サイにはシカマルの胸の内が痛いほど分かった。
――彼が来たのは任務だからだ。キャパなんかとうに越えてる筈。忍として割り切れるかどうか――
サイの心配を同情と捉えたシカマルは、顔を背けた。
思いをぶつけたところで虚しい沈黙が流れるだけなのは分かっていた筈だった。フーもサイも、ダンゾウのことは話せないように術を施されているはずなのだから。
「…君の気持ちは分かった。無理にとは言わない。」
フーは静かにそう言った。
「だがはっきり言おう。それを避けていては、いずれ離反した飛段に呪い殺されることになる。我々がね。」
シカマルはきつく唇を噛んだ。
――結局出口なしか。俺がその禁術とやらを掛けるしか方法はないのか。でも何故だ。何故俺なんだ!?――
シカマルはフーを睨んだ。フーはそれを受け止めて、
「…禁術の効力が一番強いのが君、ということだ。」
と言い、チッ、と舌打ちするシカマルの横顔を見つめた。

(この禁術には強い思いが必要なのだ。君らの憎悪、それが鍵となる。それに、)
フーは心の底で思った。

(禁術は君が掛けるのではない。君が掛けられるんだ、シカマル。)

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