洞窟は、フーによれば、かつて戦争で使われた木ノ葉の砦跡だということだった。薄暗いが自然な空気を取り込んで換気しているらしく、閉塞感を感じなかった。フーは、足を引き摺ってしか歩けない飛段を壁際に座らせ、非常用のランプを灯しながら、暗部は度々ここを使っている、と、言った。

それから彼はそっと飛段の暗部面をずらしてその蒼白な額に手を当てた。飛段は少し首を背けたが、まだ術の後遺症から抜けきれていないのか、その動きは緩慢で、さして抵抗はしなかった。その一連の様子を見ているシカマルが、あまりにも無表情なのに気づいて、サイは少し離れて座るよう促した。飛段を簡易ベッド寝かせて何か処置を施し、フーは二人に向き直った。

「…暗部へようこそ。……サイ、君には根で何度か会ったことがあるが、任務は初めてだね。期待しているよ。そしてシカマル、君は中忍の中でもかなりの実力者だと聞いている。二人ともよろしく。」
フーはふと耳を済ました。あれから爆撃の音はしない。

「君たちの術なら把握している。遠距離タイプ、秘伝忍術遣い。そして私の心転身、飛段の呪術。まさにこの隊は連携が肝だ。暗部は、暗殺、いってみれば殺戮のエキスパートだが、何も君たちにいきなり千人斬りをやれという訳ではない。」
フーはそう言って少し言葉を切り、二人の瞳をじっと見据えると、
「暁をたった7人、殺るだけだ。」
と言った。


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