シカマルとサイはフーを追いかけて火影室を出、廊下を進み、外に出る通路に差し掛かる所でフーが空中へと飛んだのでそれに倣った。屋根を伝い飛び、付いていくしかない。隊長は彼であり、行先も任務の打ち合わせも、まだ何もしていないのだ。
割り切れない思いがあるとしても、任務は呑まなければならない。考えないこと、自分の心を閉じること。隊長とサイはその訓練が出来ている。飛段に至っては常人とは感覚が違うのだから論じても仕方ない。だとしたらこの中で一番感情のコントロールが難しいのは自分だとシカマルは悟った。
正直死ぬほど叫びたい。どうしてこんな理不尽なことを、と食ってかかりたい。自暴自棄のこの気分のまま、チャクラを練ってあいつを倒したい。まだ手はある。任務中に想定外の事態は付きものだ。そう思ってみたが、綱手の顔が脳裏をよぎった。
やはり火影には迷惑をかけられない。それにダンゾウのことだ、この任務の保険として何か脅しをかけるということも充分にありうる。選択肢は最初からないのだ、自分には。シカマルは思い知った。
――けど――。
(―殺してやる―。飛段を、もう一度俺の手で。必ずやり遂げる。
味方を、欺いてでも。)

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