ナルトの新術の蒼い閃光――風遁螺旋手裏剣――に空で砕かれた男は、地に堕ちて息も絶え絶えとなっていた。
あたりの木々はなぎ倒され、地形は変わり、空の面積だけがやけに広がって激闘の痕を物語っている。

ナルトとヤマト、チョウジとイノは、医療班に合流するために先に支え合いながら歩いて行った。カカシは一人、その男の後始末に残ったのだった。


(…世代交代だと?……抜け抜けと言いやがる……)

あれをもろに食らいながら、まだ息絶えていない男がカカシを睨んだ。
その碧の瞳に移るのは、鳥の囀りを思わせる高音の青い焔。
今まさに、木ノ葉の最後の制裁が、角都の頭上に降り下ろされようとしていた。


そのカカシの拳は、音もなく現れた狐面の暗部装束によって遮られた。
角都の側にもう一人、虚空から現れた暗部が立ちはだかる。
何故なのか、訝しげに眉を潜めたカカシに、礼をした暗部は、

「火影の命により、暁二名の始末はこちらでします。」と言った。

「…いや、綱手様には暁の抹殺を言い渡されたんだけどね?…」

何か匂う。暗部上層の影がちらつく。

始末と言っても、いろいろな意味がある。

大抵は特殊能力の解明のため、解剖される。
しかし、時には……。
何にしても、ここで殺っておかないと、詰めの甘さを後悔することになるのを、カカシは痛いほど知っていた。

しかし、綱手の署名のある巻物を見せられては従うしかない。

暗部は、命令遂行の為なら容赦ない。それは、自分が所属していた時から変わらない。多分、暗部があちらにも行っているはずである。

(……抹殺ではなく、回収か……。

シカマル……。

アスマ、…あいつ……乗り越えられるのか……。)


奈良家の黒い森の方を、カカシは複雑な思いで見つめた。



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