ダンゾウが出て行くと飛段はチッと舌打ちし、診察台から飛び降りた。無性にむしゃくしゃする。飛段は、薬物の入った試験管や、よく分からない資料の山や、手術用の器具が載ったトレーやらを手当たり次第蹴散らして落としまくった。その様子を、梁や診察台の付近から何匹かの蜘蛛が見ていたが、その流れ弾に当たって数匹が消えた。

(諜報してやがる。クッソ木ノ葉め!)

部屋の天井近く、梁を這わせぶら下がっている電源らしきコードに蜘蛛を確認した飛段は、それに飛び付いて力ずくで引っ張った。天井からメリメリとコンセントごと外れたそれをムチのようにしならせ、さきほどの蜘蛛が逃げ込んだ硝子戸の整理棚めがけて降り下ろすと、派手な音がしてガラスが割れた。中の薬品の瓶が倒れて黒い煙が出だし、再び警報が鳴り出してやっと、飛段は我に返った。

(…また警報かよ!うるせえっての!)

ドカドカと足音がして、ダンゾウの腹心たちが駆け込んできた。容赦なく鎖つきの大手裏剣が交互に飛んできて、避けたものの壁を背に飛段は動きを封じられた。

その時、ドクン、と周囲が波打つ感覚が飛段を襲った。
しまった、と思った時はすでに遅く、飛段は幻術に囚われた。

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