飛段は、ダンゾウが一人で部屋に残ったのを蔑視した。
どうせまた何か仕掛けるつもりだろう。医師の亡骸は既に運び出されていたが、まだ現場は乱雑なままだ。その床を踏みしめ飛段に近づきながらダンゾウは声を震わせた。
「…俺が見たかったのは…これだ。…お前の能力が今も完璧かどうか……。期待通り完全に甦ったな。フフフ…」
ダンゾウは続けた。
「お前を繋ぎ合わせた者への仕打ちがこれとは…。さすがはジャシン教信者だな。」
呆れたような声が勘に触った飛段は、知ったことか、という風にダンゾウを睨んだ。
ーー俺を甦らせ、対象者を呪い殺せるか、能力を確認していただと?じゃあここまでは折り込み済みってことか。
ダンゾウは飛段を見据えて、こちらを向け、と乾いた声音で言った。
飛段の意志に関係なく、首が勝手にダンゾウの方を向こうとする。喉が詰まりそうになって、歯をギリリと食い縛りながら、飛段は従うしかないと悟った。何に腹が立つといって、木ノ葉に囚われ、跳ね退けられない術を遣われ、それに服従するしかない自分にも、木ノ葉自体にも腹が立つ。
「…木ノ葉がお前を使うのも時間の問題だ。もうすぐ小隊に組み込まれて動くことになるだろう。」
飛段の頭をガッと掴み、片手で自身の眼の包帯を取ると、ダンゾウは写輪眼の瞳術を発動し、飛段を睨んで言った。
「暁を討伐するのがお前の使命だ。同胞である木ノ葉の隊員は決して殺してはならぬ。肝に命じておけ。」

ダンゾウはすっと離れて、火影の沙汰を待て、と言った。

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