警報を受け飛段の病室には、フーを始めダンゾウの側近の忍たちが詰め、ダンゾウの到着を待っていた。
ダンゾウは今回、相談役を煽り、火影を言いくるめさせてこの暁の二人を手に入れた。情報としては二度の対戦で集められたデータだけが頼りだ。この飛段の場合、ターゲットの血を体内に入れ、呪術めいたもので殺傷する能力がある、ということしか分かっていない。だが、使えそうだと判断したダンゾウは、暗部の医師に改造を試みるよう命じたが、医師はいとも簡単に惨殺され、結果、飛段にどこまでどんな術を施したのか、カルテの記述は空欄のまま血に濡れていた。

その時、ピクッと飛段の手が動いた。一同が身構えると、かったるい様子で起き上がり、ふてぶてしい態度で首をボキボキ鳴らした。
「…何だよ、お前ら!アア?」
じろじろ見んな!と飛段は言って、胸の千本をぐっと引き抜くと、無造作にわざとらしく音を立てて、診察トレーに置いた。
「…祈りの邪魔すんじゃねえよ。呪うぞ。」
と毒を吐いた所で、空気がピンと張りつめ、ダンゾウが現れた。
「…まだ木ノ葉仕様になっていないようだな。」
ダンゾウは写輪眼で、飛段に懸けられた術を見極めた。
自分への服従術は効いている。そしてもう一つ、医師が懸けたと見られる術が……これは……ふん、面白いではないか。
服従術とこの色術を組み合わせ、小隊を編成すれば、飛段が木の葉サイドを襲うことはない。
飛段を優秀な手駒として使う為に、組ませたい忍がいる。
暁の最終目的が何なのか分からないが、それを阻止するために効率よく飛段を利用するには、あの術が必要だ。
綱手が難色を示すのは想定内だが、暁の脅威を潰すためだ。

(この小隊がうまく機能する為には、お互いの背景を無視せねばならんが、それをやってこそ忍だといえる。我等の時代など、今の平和ボケした里とは比べものにならないほど苦渋の選択の連続であった。)

ダンゾウは、人払いを命じ、フーを見張りに立たせた。

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