「飛段と言ったな、何をしていた?相方捜しか、暁にも情けはあるようだな。」
ダンゾウの足が飛段の頭をガッと踏みつけた。
(…グッ…!)
体は暗部に押さえつけられていて動きがとれない。飛段はダンゾウを睨み付けた。
――なんだこの、悪そうなジジイは…!お前の思い通りにはならねえぜ俺は!――
「……捕虜の宿命だ、お前には木ノ葉の為に働いてもらう。…フフ、屈辱だろう?…この、暁め…!」
ダンゾウの声には憎悪を込められていた。
「…死ねぬとは残酷なものだな。忍たる者、組織を守る為に死ぬことが出来るが、お前にはそれすら許されない。しかし、死なないからこそ出来ることがある。」ダンゾウは上から飛段を見下ろした。
「暁の殲滅だ。」
「俺に仲間を売れというのかよ!…(今まで仲間とか思ったことねーけどよ!角都以外は!)別に活躍の場なんて要らねえし!早く足退かせ、ジジイ!!」
飛段は喚いた。
「…分かっていないようだが、お前の道はそれしかない。」
ダンゾウは部下に合図した。暗部の一人が飛段の髪を乱暴に掴み、立たせると、ダンゾウは素早く印を結び、飛段の胸に術を打ち込んだ。
「グアッ!!」
体が痺れてくる。
(クソ!俺の体に勝手に何かしやがって!)飛段の口はそう言ったはずだった。
しかし、自分の耳には何も聞こえなかった。
「…ワシへの服従術をかけた。その術は解けない。暁を殲滅し、木ノ葉を守るのだ、飛段。」
ダンゾウは歩き始めた。
「出来ないとは…言えないはずだ。ワシへは、反抗的な言葉は喋れなくなっている。」
(クソっ!話せねえ!!)
飛段は喚いたが、声は全然聞こえなかった。
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