本体の飛段は、うまい具合に見つけた医療班員の白衣を着て、根の手術室らしき所に出没し、角都を捜し回った。だが、なかなか見つからない。やはり撹乱させるための偽情報だったのか?

その間に、影分身の方は、出口を見つけようと必死で建物の上を目指していた。どうやらこの手術室部分は地下にあるらしい。階段を何階も上がっていくと、やっと、窓があった。地上だ。木ノ葉の鬱蒼とした木々が風にうねっているのが見える。

地上に出ると、木ノ葉病院が見えた。

その時飛段は、忘れもしない、憎き黒い影のようなチャクラを感じた。戦った時と比べてかなり弱々しいが。

いる。あいつだ。歯だけで充分噛み砕けるあの憎たらしい黒髪のポニテがいる。

(約束したもんなあ!必ず、這いずり出て喉元食らいつきに行くってよお!!)

チャクラを頼りに三階の部屋の、開いている窓から忍び込む。

(すやすや寝てやがる。こっちはてめえのお陰でチマチマ継ぎ接ぎされて痛い思いしてるっていうのによ!)

カーテンの影に他の誰かのチャクラを感じる。
構うものか。俺は分身、やられてもいい、とにかく、こいつに恐怖を植え付けるのみだ。

飛段は窓から一気にシカマルの喉元めがけて手術用のメスを投げた。ビシャ、と墨壺をひっくりかえしたような音がして、絵から飛び出した一羽の烏がメスを受け、つぶれる。あと二羽は飛段めがけて飛んできた。かわして飛ぶ。シカマルの喉元に手を伸ばし本当に噛みつこうとした。

サイは、背に差している文鎮刀を抜き、飛段に切りかかった。

―――夢の中でシカマルは、森の果てから誰かが、叫びながら走ってくるのを見ていた。

……あいつだった。

よりによってまた、体が動かない。

嘘だ。なんで普通に走れるんだ?!
お前は……俺が……俺がさっきバラバラにしたのに……!!!

「来たぜえええ!!!」

憎たらしそうに叫びながらそいつが飛びかかってきて………!―――

パッと目が覚めると、目の前にあの、忘れもしない飛段の、不敵な面が笑って飛びかかってきた所だった。
サイが間髪入れず切りかかって、飛段はボン!と煙に消えた。

――影分身…!――

体が冷たい。寝汗をかいたせいだろうか。

サイはさらなる攻撃に備えて辺りを警戒している。

「……サイ………すまねえ……どうして…?」

「……君を護衛しに来たんだよ。今の奴の他に、誰か来なかったかい?」

「…分からねえ。ただ、寝ると変な夢ばかり見ちまうんだ。」

シカマルがそう言った時、二人の側にザッ、ザッ、と姿を現したのは、カカシとヤマトだった。

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