「…綱手様、例の件ですが」カカシが巻物を手渡しながら言った。
「上層部…ですか?」綱手の苛つく顔でそうだと分かる。
「……ああ、私の力不足だ。……すまんカカシ、ヤマト。」

綱手は火影椅子にドッと腰を降ろし、苦々しく話し始めた。

「ダンゾウの息のかかった根の者は、火影直轄暗殺部隊に属しながらも、ダンゾウの命令には背けぬようになっている。いわゆる裏暗部だ。
最近は里と里とが本当の同盟を結ぶようになってきたからあまり汚れ仕事は無い、というのが表向きの報告だが……。
勝手に他里の要人を片っ端から片付けられたら、木ノ葉の立つ瀬がない、ということから、今まで裏の行動を監視し、抑制してきたのだが…。
暁が目立ち始めた頃からダンゾウが煩くてな。
対暁、抜け忍討伐なら各里の共通の目的である、と抜かしおって。早々に、小隊の案まで出してきおった。
まあ、二人がうまく蘇生しなければ、この話はなかったことになるんだがな。」

「…蘇生を阻止…しますか?」
カカシが冷徹に言うと、綱手は、
「…火影命令を反古には出来ん。それに蘇生に関わる医師たちを手にかけることもだ。人柱力目当てに暁が動き始めた以上、戦争は避けられない。怪我人が出るということだ。医療忍者が必要になるが、医療系はそうそう簡単に育たない。」
ため息をついて綱手は続けた。
「ただ、あの角都という男は、ナルトの技で細胞から経絡系が剥がれていた。あれは私でも治せない。だから、生きてはいるが、チャクラは練れず、忍として任務をこなすまで回復することは不可能だと推測した。生かしておいて暁のことを吐かせるなら利用価値はある。…問題は、飛段だ。」
「…首をはねられても生きている男ですね。蘇生というか、繋がるかどうか、ですか…。」
ヤマトがそういうと、綱手は頷いた。

「ところで…ダンゾウはどんな小隊を提案してきたんですか?」
カカシが聞くと、
「……これだ。信じられるか!?」
と、綱手が広げた巻物を見て、カカシとヤマトは顔を見合わせた。

――隊長 奈良シカマル。 隊員 飛段(予定) ・某・某――。

「ダンゾウ…様、は何を考えているんですか!」ヤマトが叫んだ。
「ヤマト、お前がダンゾウならどうする?…」
カカシが言うと、ヤマトは、
「…先ずは任務遂行のため、あらかじめ隊長を操ろうとし………シカマルが、危ない。」
綱手は、「私もそう思って、シカマルの近辺を警戒するよう、先ほど見張りを付けた。」と言った。

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