鬼鮫を仕留めたと同時刻、暗部の病棟の一室。

角都は夢を見ていた。

木ノ葉の忍と交戦後、リーダーの命によりそれ以上攻め込まず、数日間、雨に打たれながら三尾を封印した後。

相方に額当てを返した時に、ヤツがやけに嬉しそうに絡んできて何か言っているのだが、何故か角都には聞き取れない。

『何を言っている、飛段…?』

聞いてみたが次の瞬間飛段の姿が見えなくなる。
言った言葉は何だったのか。
思い出せない。

と、急激に左胸が締め付けられ、角都は現実ーー暗い病棟ーーに引き戻された。心臓を押さえてベッドにうずくまる。早鐘のようにドクドクと打つ心臓、脈拍、血を送る速さが尋常ではない。心臓を取り込む時、適応するまでの間の違和感は経験があるが、このような経験は今までになかった。激しい不整脈に息が荒くなる。

(………俺はあの木ノ葉の人柱力の風遁術を受けて、その後の記憶がない。木ノ葉に何かされたのか。)

心臓を取り込めばその性質は背中の面に表れる。木ノ葉が何かしたのなら確認しなければ。

そう思った時、また激しく心臓が打ち出して角都は肩で息をしながら、額のあぶら汗を拭った。

(………俺はまだ木ノ葉に繋がれている。
飛段………お前は…今、無事なのか……?)

ドクッと心臓が跳ね、角都は苦しそうにベッドに突っ伏した。



所は変わり、木ノ葉の夜営地。

パチッとなにかが弾ぜる音がして、飛段は目を覚ました。昼か夜か分からず居たが、あたりはすっかり暗くなり、風が冷たく感じられる。
火にくべられている薪がパチッと弾けて火の粉を散らし、あたりの闇を照らしている。それをしばらく眺めて飛段は、早朝からの長きにわたる鬼鮫との激闘の末、仕方なく野営に至ったことを思い出した。

鬼鮫は本当にヤバかった。
あれは尾獣と肩を並べる強さだった。いつもなら塞がる傷もまだ塞がっていない所が数ヶ所ある。

ーー…今日に比べれば化け猫ん時はまだ余裕があったよな…
あん時は角都と一緒だったからな。ーー。

飛段が視線を移すと、火の番をしながら白い頬に疲れを滲ませてうつらうつらしている隊長代理が見えた。その横の寝袋からは跳ね返った黒髪の束の主が、微動だにせず寝ているようだ。

「お疲れの様子ってか……ケッ………これだから木ノ葉は」

(……ヌルすぎるあの里みてえだな)

飛段は上体を起こしたが、まだ、身体の蘇生していない所が内出血をおこしている。急激に貧血状態になり、飛段はフラフラして地面に伸びた。

(チャクラと血が足んねえ…)
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