腕に点滴がなぜ付いているのだろうか、何か医師が言っていたが、ぼんやり聞いていたので覚えていない。
(俺の治療は終わったんじゃ…ねえのか……)
その時、ベッドサイドの椅子にサイが座っていることに気づいた。サイは、ここにシカマルを運んですぐ、どこかに行ったはずなのだが、いつの間にか戻ってきていたらしい。
シカマルは、サイがまだ付き添っていてくれていたことに少し驚いた。
「…サイ、…わりぃ……。ずっと居てくれたのか?…お前、夕飯は?」
「大丈夫。…ナルトの治療が長引いててね。終わったら、ナルトとサクラと一楽に行くつもりなんだ。」サイはそういうと立ち上がった。
「…さっき、点滴は明日までだと医師が言っていたよ。だから明日まで家には帰れない。退院したらこの薬を毎朝夕に飲むように、君に伝えてくれって。」
(…シカマル、君は食事が全く喉を通らなかったんだ…。だからかな、点滴療法なのは。僕には良く分からないけれど。)
喉が乾いたら飲んで、とサイはシカマルにサイダーを手渡した。
「…すまねえな、サイ。色々助かったよ。」
「シカマル…もお大事に。」サイはそういうと病室を出て行った。
明日までここに居なきゃならねえのか……それも一人で。こんな、釈然としない、どこにぶつけたらいいのかも分からない気持ちのまま……。
シカマルはベッドに胡座をかき、頬杖をついた。
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