曇天のせいか、昼でもうす暗く感じる木立の中、飛段の近くに戻ったサイは、シカマルを大鷲の翼の中に座らせ、飛段の様子を伺った。
ヒューヒューと、風が漏れたような音がすると思ったら飛段の呼吸のようだ。
陣形の上の飛段は、前回シカマルが爆破した時よりも体が繋がっているぶん、見るに堪えない恐ろしい有り様だった。
言葉通り首の皮一枚で繋がっている首は、早くも再生を始めて繋がりつつあったが、血を吸った大地は辺り一面をどす黒く染めていた。体内にあるはずの臓器やあらゆる組織が夥しい血とともに体の外に出ており、正視するのも堪えがたい。武器が体を貫通し、心臓や、内蔵まで普通に傷ついているだろうに、それを再生するというのは、いったいどのような禁術を幾重繰り返した結果なのか分からない。ただただ、本当に凄い能力であるとしか言いようがない。

「…鬼鮫…………強すぎだろ……」

しゃがれた声で飛段は独り言ちた。

「…あの刀が曲者だったんだよ。君は刀に触ったりチャクラを奪われたりしなかったのかい?」

サイは疲れた顔で言った。飛段は、さあ、俺はジャシン様のご加護があるから、と言い、サンキューな、と脇に投げ出された血だらけの文鎮刀を指差した。

サイは刀と、無造作に体から抜き取られたとおぼしき大手裏剣を二つ、とりあえず巻き物に収め、木立の影に野営の準備を始めた。飛段の傷が癒え、シカマルの体力が戻るまではとりあえず動けない。ここで全員回復を待ち、それから動き出さなければ。暁が襲来しないとも限らないが、半日は動けないだろう。今襲われたらもう命の保証はない。

激しい疲労が襲ってきたが、サイは淡々とやるべき事をこなした。
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