サイとシカマルが消えるのを見ながら、飛段は、鬼鮫のものすごい生命力と闘っていた。

(上…等だ………!戦ったことねーから分かんなかったが…………鬼鮫マジ半端ねえ……!これ殺ったらジャシン様の祝福、激凄いことになるん…じゃね?!……)

余裕でイケると思っていたのに、集中しないと意識が飛びそうになる。
鬼鮫の魂がいよいよ消える、という瞬間が何度か来たのだが、その度に何故だか持ち直すのだ。簡単には呪わせてくれない。急所を何ヵ所突こうが、大手裏剣をぶっ刺そうが、致命傷を負わせても、絶命に至らない。鬼鮫が負傷する度に、どこからかとてつもなくデカいチャクラが充填される感じがする。

飛段にはそのメカニズムが分からなかったが、鬼鮫が今まで殺ったどの忍よりも手強いということだけは分かった。

(…あん時と…似てる……!…あの化け猫の姉ちゃん殺った時と……あれも結構長引いたしな……。
暁殺るのに狙う順番とかマジで無えな!
当たった奴に全力でいくだけってか………!…こいつは絶対殺るしかねえ!)

一方、サイとシカマルは、包帯を巻いたような大刀に寄りかかり、かろうじて立っている血だらけの鬼鮫を木陰から見ていた。
鬼鮫自体は急所を何ヵ所も突かれ、かなりピンチに陥っているようだ。変なのは、巻かれた包帯の隙間からギザギザしたものが出ていて、その刀がドクン!と脈打つと、鬼鮫の体がビクッとし、立っているのもやっとの状態から少し生気がみなぎるのだ。ただ、傷口の血は止まっていない。生命維持の効果はあるようだが、致命傷の回復までは出来ないのかもしれない。

「なんにしても、あの刀がおかしな力を出すようだな」

「まるで生きてる刀みたいだ。キサメからあの刀を離すしかない」

その時、鬼鮫の体がピクン、と動いた。

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